ドル円が78円前後でこう着状態だった昨年夏場、「2012年末は82円」と筆者が社内外のミーティングで予想すると、「まさか4円も」と疑問の声が各方面からあがった。そして今、同様の場で「13年末は102円」と説明すると、まったく正反対の反応が返ってくる。「たったの102円か」と。円相場は、昨秋からの半年間で激変した。 昨年11月14日の野田佳彦(当時)首相による「解散宣言」以降、急激に進行した円安において中心的テーマは常に「アベノミクス」だった。12月16日の衆議院選挙を経ての政権交代、1月22日の日銀による2%インフレターゲット採用、3月15日の黒田東彦日銀総裁選出、そして「黒田ショック」とも言える今月4日の圧倒的な金融緩和策。強いメッセージ性とスピード感ある政策実施は、円安の気運を盛り上げ続けてきた。