日本のアニメ・特撮音楽の礎を築いてきた作曲家・渡辺宙明氏。手がけてきた作品は『マジンガーZ』をはじめとするロボットアニメ、『秘密戦隊ゴレンジャー』をはじめとする戦隊シリーズ、『人造人間キカイダー』『宇宙刑事』シリーズほか多数。このインタビューは、氏の半生をまとめて振り返る初の試みである。 作曲家・渡辺宙明氏 ――最初に作曲家になろうとお思いになったのは……。 「中学1年ごろに、クラスの中の1人がハーモニカを吹いてたんですね。うまかったですよ。そして自分も吹きたくなって、早速、日本橋三越にハーモニカと教則本を買いに行きました。教則本を頼りに練習を始めたのです。当時のハーモニカの楽譜は、数字の楽譜なんですね」 ――音符は書いてないんですか? 「五線譜はないんです。数字だけです。「ド」が「1」で、「ソ」は「5」です。間もなく数字譜を見ただけで歌えるようになりました。そのうちに、作曲家、しかも映画