「〇〇さんにお子さんが生まれますので、育休を取得させてください」 佐藤拓也さん(仮名・30代)が勤める地方銀行では、男性行員に子どもが生まれる際、人事から所属長のもとに、育休取得を促すメールが届く。佐藤さんも第一子が生まれる際、上司から「会社として育休を取らせなきゃいけないから、ちゃんと取るように」とクギを刺された。 この取り組みが奏功してか、職場では多くの男性が育休を取得している。ただ、問題はその中身だ。男性育休取得者のうち7~8割は育休を1日しか取らない。それが行内の暗黙の了解になっていた。 時折、1日以上取得する人がいるものの、その期間は最長でも1週間が限度。しかも職種は、顧客対応をしていないバックオフィスに偏っていた。 「取らない」選択肢もなかった 「たった1日の育休であれば、いらない」。正直、そう感じるメンバーも多いことだろう。しかし、「取らないという選択をすることも難しかった」