大乗仏教は紀元後から小乗仏教を批判する形で生まれ、大きな勢力となりやがては中国を経由して日本にやって来た。私たちはそうしたイメージで大乗仏教を考えてしまいがちですが、大乗仏教教団そのものが5、6世紀になるまで存在していた形跡がないというのは驚くべき事実です。大乗経典自体は紀元一世紀頃から生まれてはいるものの、小乗教団と別の形で大乗教団が存在していたわけではないとショペンは言うのです。 「経典があるのに教団がないってどういうこと?」と皆さんも不思議に思うかもしれません。私もそうでした。 ですがショペンはこの本の中で鮮やかにその仕組みを解き明かします。正直、衝撃としか言いようがありません。