どうもこの賞はタイミングが難しいのである。まず、他の賞をとったものは対象にしないため、ある程度待たなければならない。なお、知人友人家族の著作は対象にしないという決まりである。 そこで正賞はあとまわしにして、特別賞と書評賞を先に発表しておく。 特別賞は、昨年亡くなった「青空文庫」主宰の冨田倫生さんに授与する。これは言うまでもなく読書文化に大きな貢献をした人だが、ことさら顕彰されることがなかったからである。 次に書評賞というのは、今年特別に設けるのだが、これは毎日書評賞というのがあって、丸谷才一が作ったのだが、書評集という著作に与えられるものだ。だが、この出版不況の中、書評を集めた本などというものが出してもらえるのは、一握りの有名人だけである。いい書評を書いていても、それが本にならない人というのがいて、毎日書評賞はそういう人には授与されない。 連載書評で、「新書の小径」という半ページのコラムを