近現代史への関心は高く書物も多いが、首を傾げるものも少なくない。相当ひどいものが横行していると言っても過言ではない有様である。この連載はこうした状況を打破するために始められた、近現代史の正確な理解を目指す読者のためのコラムである。 昭和を代表する陸軍の参謀7人を取り扱った著作である。いずれも興味深い内容であるが、評者として最も印象深かったのは第5章の池田純久であった。池田は昭和前期陸軍派閥抗争の1つの焦点である統制派と皇道派の対立において、統制派を代表する人物であったにもかかわらず研究がほとんどないからである。 この統制派と皇道派の対立において特異なことは、皇道派の存在は明白だが、統制派の存在は当事者が否定することが多いことである。このため誤って存在しないとする研究者すらかつては存在した。しかし、池田は自ら自分が中心であったとして存在を認め、研究を大きく前進させたのであった。 池田は189
犠牲者意識ナショナリズム 国境を超える「記憶」の戦争 著者:イム・ジヒョン 出版社:東洋経済新報社 ジャンル:社会思想・政治思想 「犠牲者意識ナショナリズム」 [著]林志弦 「犠牲者意識ナショナリズム」とは著者の造語で、自分の国の一体性や正当性を主張するために、自分たちの英雄的な行動ではなく、他国から受けた被害を過剰に強調し、自分たちの加害を過剰に小さく見せようとする態度のことをいう。 慰安婦問題が欧州の女性に対する犯罪の記憶を呼び起こしたり、ホロコーストの記憶とイスラエルによるパレスチナでの暴力の記憶が重ねられたりする記憶のグローバル化を背景に、ポーランド、ドイツ、イスラエル、日本、韓国、旧ユーゴなどの犠牲者意識ナショナリズムを縦横無尽に論じる快著の翻訳を寿(ことほ)ぎたい。 私が初めて著者の報告で犠牲者意識ナショナリズムという言葉を聞いたとき、なんて恐ろしい概念だと驚愕(きょうがく)し
野蛮と宗教 2 市民的統治の物語 著者:J.G.A.ポーコック 出版社:名古屋大学出版会 ジャンル:伝記 「野蛮と宗教 Ⅱ」 [著]J・G・A・ポーコック 著者は世界有数の政治思想史家で、1924年生まれの98歳。共和主義の歴史を辿(たど)る『マキァヴェリアン・モーメント』がよく知られてきた。自己利益の追求に基づく自由主義とは異質な、公共精神を重んじる思想の系譜を発掘した大著だ。 同書の刊行直後から構想されて、2015年刊の第6巻で完結したのが『野蛮と宗教』だ。ギボンの大作『ローマ帝国衰亡史』をめぐる思想史的分析で、スケールも紙幅も壮大だ。成果を発表するたびに、思想史像を大きく刷新してきた著者の力量は、さらに際立っている。 昨年翻訳された第1巻と、この第2巻では、ギボンを読む前提として、まずは、彼が生きた18世紀の啓蒙(けいもう)思想が精査される。通説は次々覆されていく。 第1巻は、フラン
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)創始者の文鮮明(ムン・ソンミョン)氏が1989(平成元)年に韓国で行った説教で、自民党の安倍晋太郎元外相が当時会長を務めていた保守系派閥「安倍派」(清和会)を中心に国会議員との関係強化を図るよう信者に語っていた。約53年分にわたり韓国語で記された文氏の発言録615巻の中から毎日新聞が当該部分の記述を翻訳・確認し、判明した。【田中裕之、ソウル坂口裕彦、渋江千春】 韓国語版のみ全615巻の発言録 晋太郎氏の息子で、今年7月の銃撃事件で凶弾に倒れた安倍晋三元首相がいつ、どのように教団と深い関わりを持ったかについてはなお謎が多い。晋太郎氏の義父・岸信介元首相と文氏との間で築かれた関係が源流にあるとされるが、その後を継いだ晋太郎氏を足掛かりにした教団の政界工作が、教祖の肝いりで模索されていた可能性が浮かんだ。 発言録は、韓国の教団系出版社「成和出版社(現・天苑社)」
11/6(日) 14:35配信 中日スポーツ キムタク信長見参、岐阜市に全国から注目 「生まれてこの方、こんな人集まったの見たことない」【ぎふ信長まつり】 岐阜市で5日に開幕した「ぎふ信長まつり」は6日、俳優の木村拓哉(49)と伊藤英明(47)が特別出演する「信長公騎馬武者行列」が行われた。 行列には来年1月27日公開の映画「THE LEGEND&BUTTERFLY」で岐阜ゆかりの武将織田信長を演じる木村と、福富平太郎貞家役で岐阜市出身の伊藤が劇中の衣装を着用して登場。馬にまたがり、約1キロをパレードした。 行列は観覧希望者の事前申し込みに岐阜市の人口の2倍、倍率64倍の応募があり、全国から注目を集めた。またこの日は岐阜県全域と愛知県の一部で視聴できる岐阜放送(愛称ぎふチャン)で生中継が行われ、ツイッターでは「ぎふチャン」がトレンド入り。放送を楽しんだ視聴者らは大観衆の映像に「生まれも育ち
アーティストがお気に入りの楽器を紹介するこの連載。第26回に登場するのはエレクトーン奏者TUCKER。1990年代より演奏活動を始めた彼は、パンクやヒップホップのマインドで、日本では“習い事”のイメージが強いエレクトーンという楽器に新たな息吹を注ぎ込んできた。海外でも精力的にライブ活動を展開し、ここ最近はEGO-WRAPPIN'のライブにサポートキーボーディストとして参加するなど幅広く活躍するTUCKERにエレクトーンとの出会いや、その楽器としての魅力を語ってもらった。 取材・文 / 松永良平 撮影 / 田中和宏 きっかけはBeastie Boysの「Check Your Head」エレクトーンは、もともと家にあったんです。弾いていたのはお母さん。でも子供の頃はなんの注目もしてませんでした。90年代に入ってBeastie Boysの「Check Your Head」(1992年)にマニー・
お笑いコンビ・千鳥が、11月19日に3年ぶりとなる単独ライブ「千鳥の大漫才2022」を東京国際フォーラムにて開催する。ライブに向けて新ネタを作っている最中だという千鳥にインタビューし、単独ライブへの思いや、“大漫才師”という目標について話を聞いた。ノブは今年、右椎骨動脈乖離を患い40日間休養。復帰したときに、観客の笑い声が聞ける舞台の仕事が何よりも大切だと改めて気づけたという。そして2人とも、相方の存在の大きさを感じたと、笑いを交えて語ってくれた。 お笑いコンビ・千鳥の大悟(左)とノブ 撮影:蔦野裕 ――3年ぶりの「千鳥の大漫才」となりますが、お二人にとって単独ライブはどのようなものでしょうか。 ノブ:コロナでできない年もありましたが、22年前くらいから毎年やっているので、楽しみですし、新しい漫才を作る場所になっています。 大悟:ネタ番組にも出ていますが、そこまで出ていないので、ちゃんと漫
俳優やモデルとして活動するYOSHIが11月5日、神奈川県道交差点で大型バイクを運転中にトラックに衝突し、死去したと大手メディアが報じた。享年19。 YOSHIは13歳の時に「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」が東京で開催したパーティーでヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)にファッションセンスを称賛されたことをきっかけに注目を集めた。これまで「アンブッシュ(AMBUSH®)」や「ヘルムート ラング(HELMUT LANG)」のモデルに起用された。2019年9月に映画「タロウのバカ」で俳優デビュー、同年5月にファーストアルバム「SEX IS LIFE」で歌手デビューした。
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