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ブックマーク / tanemaki.iwanami.co.jp (9)

  • 西谷修 「ショック・ドクトリン」のインパクト[『図書』2024年4月号より]

    「ショック・ドクトリン」のインパクト ──『ショック・ドクトリン』現代文庫化に寄せて ナオミ・クラインは二十一世紀に入った世界でもっとも重要な著作を発表し続けている著述家であり、ジャーナリストというより思想家である。 二十一世紀というより、マルクス主義の失効以後と言った方がよい。階級闘争、唯物史観、左右の対立、それを資主義経済論が支えるといった議論は、市場のグローバル化でまったく場違いになり、仲間うちでしか意味のない閉塞に陥っている。 そこにナオミ・クラインは新しい世界の稜線を描き始めた。『ブランドなんかいらない』(原著一九九九年、邦訳二〇〇一年、はまの出版)は、その最初のマニフェストだった。このは、PRによるブランド価値の創出が、一方で先進国の消費者マインドを煽りたて、他方で低開発国の社会をい物にし、人びとをいかに搾取しているかを暴いて、反グローバル化(=もうひとつのグローバル化)

    西谷修 「ショック・ドクトリン」のインパクト[『図書』2024年4月号より]
    bt-shouichi
    bt-shouichi 2024/04/13
    “要するに「新自由主義」とは、たんにひとつの経済思想なのではなく、市場の自由のために人びとの人格や社会(共同性ないしは公共性と言ってもいい)の破壊を要請する「ショック・ドクトリン」なのである。”
  • 思想の言葉:山崎ナオコーラ【『思想』2024年3月号 特集|源氏物語──フェミニズム・翻訳・受容】

    【特集】源氏物語──フェミニズム・翻訳・受容 思想の言葉 山崎ナオコーラ 『源氏物語』とジェンダー論 ──#MeToo時代に光源氏をどう読むか 木村朗子 〈インタビュー〉フランスで『源氏物語』を読むこと、訳すこと アンヌ・バヤール=坂井/木村朗子(聞き手) 世界文学における『源氏物語』、そして阿仏尼 クリスティーナ・ラフィン 歴史を物語として ──『源氏物語』と『栄花物語』 ワタナベ・タケシ 〈聖女〉を生きる斎宮 ──母と娘〉の連帯から 橋裕美 A.ウェイリー訳『源氏物語』からヴァージニア・ウルフへ ──モダニズム文学に於けるフェミニズムの源泉と〈らせん訳〉 森山 恵 男子校で『源氏物語』を読む ──古典を読む〈眼〉を鍛える方法 伊藤禎子 運命の悲劇と美による癒し ──ボストン大学で『源氏物語』を読む キース・ヴィンセント 読書は誰のための行為だと思いますか? 読者のための行為です。自分

    思想の言葉:山崎ナオコーラ【『思想』2024年3月号 特集|源氏物語──フェミニズム・翻訳・受容】
    bt-shouichi
    bt-shouichi 2024/02/22
    『思想』3月号は源氏物語特集
  • イギリス革命の通奏低音を聴く(後編)|岩波書店のWEBマガジン「たねをまく」

    ひとつは、近代イギリス理解につながる道筋を強調していることです。大西先生のの帯は、イギリス近世のリベラリズムと、啓蒙思想家ジョン・ロック(1632-1704)の植民地主義のあいだに連関があることを示しています。対して那須先生のは、近世と近代の宗教的な連続性を強調しています。「セクト」からイギリス近世の宗教を問う二冊が、いずれも近代を遠くの問いとして見据えているのは、当たり前ですけれども、重要な共通点です。 さらに、大西先生は「交易の自由」と「信教の自由」。那須先生は「理性」と「信仰」。ふたつの、べつもののような言葉を組み合わせていますね。

    イギリス革命の通奏低音を聴く(後編)|岩波書店のWEBマガジン「たねをまく」
  • 妥協を通じた民主化 ――ロバート・A・ダール著『ポリアーキー』

    【連載】前田健太郎「政治学を読み、日を知る」(4) 二〇世紀における民主化の条件 民主化論の締め括りとして、今回はロバート・A・ダールの一九七一年の著作『ポリアーキー』(高畠通敏・前田脩訳、岩波文庫、二〇一四年)を取り上げる。書は、二つの点で政治学に絶大な影響を与えた。 ロバート・A・ダール 著, 高畠通敏・前田脩 訳『ポリアーキー』(岩波書店) 第一に、書は二〇世紀の歴史に根ざした政治体制の分類法を提唱した。民主主義とは、全ての市民に平等に応答する政治体制の理念である。だが、そのような体制は現実には存在しない。そこで、ダールは現存する体制の中で相対的に民主主義に近いものを「ポリアーキー」と呼ぶ。それは、野党による公的異議申し立てを認める「自由化」と、選挙への幅広い参加を認める「包括性」という二つの要素から成り立つ。一九世紀の民主化は、自由化が早くから進んだ欧米諸国における包括性の向

    妥協を通じた民主化 ――ロバート・A・ダール著『ポリアーキー』
  • 【鼎談】新全集が示す関孝和像(後編) 上野健爾/佐藤賢一/橋本麻里|『関孝和全集』刊行記念

    目次 関孝和、突然の登場の謎 関の追究した一般論とは 建部賢弘と、関の数学の不継承 もしも… 新全集でやり残したこと おススメの予習 裾野を広げたい >>前編はこちら 関孝和、突然の登場の謎 上野 『塵劫記』最後の版で、吉田(よしだ)光由(みつよし)が答えを書かない問題を出したんです。そこから「遺題継承」というのが始まった。それはある種の他流試合みたいな感じなんです。イタリアの場合は直接対決でしたが、遺題継承はを通した、もっと穏やかな対決。 橋 たとえば郵便将棋のような。 上野 そうやってみんな数学を一生懸命勉強するわけだけれども、多分そのときに『算学啓蒙』というが日に入ってきている。おそらく朝鮮経由のもので、もしかすると中国から直接お坊さんが持ってきた可能性もある。それを勉強して天元術を理解できるようになったのが沢口(さわぐち)一之(かずゆき)だとされている。当に独力で理解で

    【鼎談】新全集が示す関孝和像(後編) 上野健爾/佐藤賢一/橋本麻里|『関孝和全集』刊行記念
    bt-shouichi
    bt-shouichi 2023/10/13
    “中国の数学というのはアルゴリズムで、要するに問題を解くための技術なわけです。方程式はあるんだけれども、数学の研究対象じゃない、問題を解くための手段だった。関がそれを数学の研究対象に変えているんですよ
  • 【鼎談】新全集が示す関孝和像(前編) 上野健爾/佐藤賢一/橋本麻里|『関孝和全集』刊行記念

    目次 編者4人の役割 旧全集への疑問 文を確定する作業 読み下しと現代語訳 関の著作は何か 関孝和の数学 国文・国語学の人にも見てほしい 背景事情を探る史料 和算の源流、中国数学 関以前の和算 編者4人の役割 写真左から、上野健爾氏、佐藤賢一氏、橋麻里氏 橋 このたび刊行される『関孝和全集』(上野健爾・小川束・小林龍彦・佐藤賢一編、岩波書店、2023年10月刊)をまとめる過程で、お二人はそれぞれどんな役割を担われたのですか。 上野 私はもともと数学史の専門家ではありません。和算に興味を持ち始めたのは京都大学にいたときで、隔週土曜日に高校生を集めて数学の話をしていたのですが、なにか面白い話題はないかなと和算の資料を読んでいるうちに、だんだん虜になったというのが一つ。もう一つは、日数学会で関孝和賞を作ろうとしたときに、大阪教育図書から出ていた『関孝和全集』(平山諦、下平和夫、広瀬秀雄

    【鼎談】新全集が示す関孝和像(前編) 上野健爾/佐藤賢一/橋本麻里|『関孝和全集』刊行記念
  • 農村から近代に至る道──バリントン・ムーア著 『独裁と民主政治の社会的起源』

    【連載】前田健太郎「政治学を読み、日を知る」(3) 政治体制の比較歴史分析 今回は、リプセットの近代化論に対する最大の挑戦を取り上げよう。それが、バリントン・ムーアの一九六六年の著作『独裁と民主政治の社会的起源』(宮崎隆次・森山茂徳・高橋直樹訳、岩波文庫、二〇一九年)である。書は、経済発展が民主主義をもたらすどころか、独裁体制を生み出す場合もあると論じた。 バリントン・ムーア 著, 宮崎隆次・森山茂徳・高橋直樹 訳『独裁と民主政治の社会的起源』(岩波書店) それによれば、近代に至る道は大きく分けて三つある。第一は、民主主義に至る「ブルジョワ革命」の道である。イギリス、フランス、アメリカの三カ国では、ブルジョワジーが権力を握って代議制を打ち立てた。これは一見、近代化論のシナリオに似ているが、政治勢力としての地主の消滅が決定的な条件となる。 第二は、ファシズムに至る「上からの革命」の道であ

    農村から近代に至る道──バリントン・ムーア著 『独裁と民主政治の社会的起源』
    bt-shouichi
    bt-shouichi 2023/09/16
    “リプセットの近代化論に対する最大の挑戦を取り上げよう。それが、バリントン・ムーアの一九六六年の著作『独裁と民主政治の社会的起源』(宮崎隆次・森山茂徳・高橋直樹訳、岩波文庫、二〇一九年)である。”
  • 思想の言葉:近藤和彦【『思想』2023年7月号 小特集|E・H・カーと『歴史とは何か』】

    【小特集】E・H・カーと『歴史とは何か』 思想の言葉 近藤和彦 日におけるカー受容の特徴について 加藤陽子 出会いと再会 ──E・H・カー『歴史とは何か』のグローバリティとローカリティ 小山 哲 清水幾太郎が訳す,『歴史とは何か』をめぐる二,三のこと 成田龍一 中国におけるカー『歴史とは何か』 吉澤誠一郎 近藤和彦のカー新訳をロシア史研究者が読む 池田嘉郎 国際関係論から歴史学へ ──変化の探究者としてのE・H・カー 三牧聖子 危機の時代と変化の歴史学 小田中直樹 「偶然」と「進歩」から見るカーの歴史理論 勝田俊輔 カー『歴史とは何か』と〈言語論的転回〉以後の歴史学 ──近藤和彦の新訳をめぐって 上村忠男 アクトン,カー,シートン=ワトソン ──帝国・国民国家・民族自決の理解をめぐって 中澤達哉 Self-as-Anything ──道元における自己・世界・他者(中) 出口康夫 E・H・

    思想の言葉:近藤和彦【『思想』2023年7月号 小特集|E・H・カーと『歴史とは何か』】
  • 近藤和彦 トリニティ学寮のE・H・カー【『図書』2022年9月号より】|岩波書店のWEBマガジン「たねをまく」

    【連載】『歴史とは何か』の人びと(1) E・H・カー(一八九二─一九八二)との遭遇は前触れなしであった。一九八〇年の夏の終わりに始まったわたしのケインブリッジ留学生活だが、所属はチャーチル学寮で、その家族寮に住んでいた。チャーチルにもロイ・ポータ、マーク・ゴールディ、ポール・ギンズバーグといった才気走った若手歴史家はいたのだが、わたしの研究指導教員(スーパーヴァイザ)、ボイド・ヒルトンはトリニティ学寮のフェローなので、研究面談はそちらで行われた。歴史学部における講義とは別立てである。ボイドは当時まだ三五歳、博士論文をもとに公刊されたモノグラフ『穀物・カネ・商業』で知られていた。一九世紀イギリスの政治社会史という点では、カーの『歴史とは何か 新版』(岩波書店、二〇二二)にも出てくるG・キトスン=クラークの後任という役回りだったのかもしれない 大学都市ケインブリッジの緑ゆたかな郊外を自転車でゆ

    近藤和彦 トリニティ学寮のE・H・カー【『図書』2022年9月号より】|岩波書店のWEBマガジン「たねをまく」
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