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ブックマーク / d.hatena.ne.jp/kenjiito (5)

  • 研究における動機と効果の乖離 - Cerebral secreta: 某科学史家の冒言録

    基礎科学についての議論で、ひとつ話をややこしくしているのがこの点である。これはある意味わかりきったことかもしれないけれど、意外なほど無視されているようにも思われる。 基礎科学研究の動機と理想的な研究環境 第一に、基礎科学に関係するような研究者にとって研究という活動を行う動機は、基的には、その研究が興味深いからである。興味深い、というのは実に主観的な表現だが、実際、主観的だからこそ、強力な動機になるのである。このことがテーマの選定や、研究成果の評価にも関係するし、何よりも研究者を研究に駆り立てて、知的興奮状態において、時間外労働をものともせずに仕事をさせるのは研究のこの側面なのだ。 もちろん、そうでない研究者がいないとはいわない。業績を上げることが単純に目標の研究者もいるだろう。研究がゲームのようなもので、競争相手と勝つことが目的の人もいるらろうし、研究成果にともなう名声や、金銭的な利得が

  • 役に立たない学問の価値についての覚書 - Cerebral secreta: 某科学史家の冒言録

    このところ基礎科学について、頭を整理するために思いついたことをちょっと書いている。そこでは、基礎科学を擁護するいくつかの議論のタイプについて書いているのだけれど、それはどちらかといえば科学史家の立場から、どの議論にもコミットせずにメタな立場からどのような議論があるかについて整理しようというものだ。それとは別に私自身が個人的にどう考えるか、ということについて、まず書いてみようと思う。これはいわゆる基礎「科学」だけではなく、実用的ではない学問一般についてのことで、人文系の分野のことも念頭にいれている。 これは何かのときにちょっと思いついたこばく然としたことがあったのだが、それが何であるのかが自分でもうまくつかめないでいる。微妙な考え、というだけに、極めて情緒的、感覚的なものであって、それが基礎科学の擁護として説得力を持つことはあまり期待していないし、とくにがんばって自然科学のほうの基礎科学を擁

  • いわゆる「事業仕分け」について(科学技術人材育成関係を中心に) - Cerebral secreta: 某科学史家の冒言録

    今週は、行政刷新会議のワーキンググループの会合が三回開かれ、いわゆる「事業仕分け」がなされた。日にいたら、中継を見ていたところだが、出張中で見ることもできず、やむを得ないので、今日になって情報収集をしている。 三つのワーキンググループが並行して走るという興味深いやり方で、そのうちの第三ワーキンググループが学術行政にかかわるもので、とくに13日にいくつか気になる決定がなされた。スーパーコンピュータやSpring8については、それぞれ専門家が議論するのに任せよう。私はこれらの事業の予算縮減や、凍結は、それほど大きな問題ではないと考えている。それらはより時間をかけて、やっぱり実施が望ましいとなれば、後からやり直せるからだ。復活に成功すれば、研究が一定期間遅れるだけのダメージで済む。私が一番気になるのは、人材育成関係の事業の予算縮減である。人材育成・若手支援で道を誤れば、一世代の人材が欠落し、長

  • サイエンスカフェ - Cerebral secreta: 某科学史家の冒言録

    18日に「脳死カフェ」というものが開かれたらしい。このサイエンスカフェには興味をもった。というのも、日ではめずらしく当の意味でのサイエンスカフェのテーマだと思ったからであり、実際にどのような議論があったのか大いに興味が持てるからである。 日におけるサイエンスカフェの流行 ここ数年の日におけるサイエンスカフェの流行は目覚しい。「サイエンスカフェポータル」というウェブサイトがあって、これを見ると、日でいつどこでサイエンスカフェが開かれ、そして今後開かれるのか、知ることができる: http://scienceportal.jp/contents/guide/0910/0910.html これによると、過去6カ月の間におよそ480ぐらいのサイエンスカフェが開かれたようである。ということは毎日、日のどこか2.7か所ぐらいでサイエンスカフェが開かれていることになる。これはすごい数字ではない

  • 筑波大学長照二教授解任事件 - Cerebral secreta: 某科学史家の冒言録

    去年の8月にすでに報道されていたらしいが、今月の物理学会誌の「会員の声」欄で知った。 この投稿によると、まず長教授(当時)が2006年にPhysical Review Lettersに発表した論文に対して、中退した院生から不適切なデータ解析があるという訴えが教員にあった。それを受けて、筑波大学の研究公正委員会の編成した調査委員会が調査し、その結果、不適切なデータ解析あったと報告。そして、筑波大学は論文の撤回を勧告したが長教授は反論。大学は勧告に応じなかったとして、2008年に懲戒解雇した。 筑波大学側のプレスリリースは以下の通り: http://www.tsukuba.ac.jp/public/press/080829press_Pmondai_kouhyou.pdf http://www.tsukuba.ac.jp/public/press/080306press_1.pdf それに対し

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