人間は同じキャラクターを20年以上も演じれば、自身の精神にそのキャラが根付くのか? そして人間が演じてきた情報をAIに膨大に学習させれば、その先に人間の精神のようなものは生まれるのか? 考えてみれば、商業アニメで特定の役柄を数十年にわたって演じ続けるという意味で声優という職種は突出している。もちろん、俳優が同じ舞台や同じドラマで同じ登場人物を演じ続けるケースは多い。しかし商業アニメが特殊なのは、映画版や別のシリーズごとに監督も絵柄も脚本も違う場合がしばしばあることだ。その場合、声優は各シリーズでキャラをどう解釈しているのだろうか。 とりわけ「攻殻機動隊」シリーズは作品ごとに極端な変化が観られるものの一つだろう。映画『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』(以下、映画「攻殻」)や『イノセンス』では、押井守監督の写実的な画作りと衒学的なシナリオが全編に張り詰めている。 一方『攻殻機