ブックマーク / agora-web.jp (38)

  • キラキラ・ダイバーシティの終焉:オープンレター「炎上」異聞

    IT・メディアRelaxing fire from turquoise aroma candle in water in darkness 昨年末の12月29日に連載を完結させて以来、私からは言及してこなかったオープンレター「女性差別的な文化を脱するために」(2021年4月4日付)が、今年に入って大炎上を起こしている。レターの内容と運用のどこに問題があるのかは、すでに同連載の中で端的にまとめておいたが、以下の新たな問題がその後、立て続けに発生/判明したからだ。 中心人物である北村紗衣氏(武蔵大学准教授)が、レターで名指しされる呉座勇一氏がレター批判者(與那覇を含む)と学術イベントで共演するのに際して、自由な発言を制約する弁護士書簡を送っていたこと(北村氏自身の主張はこちら)。 上記の経緯等について説明した呉座氏のはてなブログが、一部は北村氏の弁護士によるものと考えられる要請によって、凍結や

    キラキラ・ダイバーシティの終焉:オープンレター「炎上」異聞
  • サムスンはなぜ中国からフッ化水素を調達したのか?(特別寄稿)

    稿の趣旨 前々回に続き前回の寄稿も好評を得たようなので、今回も引き続き一連の半導体材料の輸出管理見直しに関する分析記事を書かせていただこうと思う。 今回は随所で報じられている「サムスンが中国産のフッ化水素のテストを始めた」というニュースの背景について考察したい。 件については、特に今回の輸出管理見直しに関して疑問を持つ立場の方から、「ほら見たことか、韓国企業が代替材料を探し始めたじゃないか。だから言わんこっちゃない」というような趣旨の反応が多いように思えるが、仮に中国産の純度の落ちるフッ化水素をラインに使おうものなら工場の歩留まり(製造量に対する定格合格品の比率)は大幅に落ちざるを得なく、企業経営としてはかなりのマイナスになる。少し待てば日から個別輸出許可が降りてフッ化水素が入ってくる見込みが十分あるのだから、来現段階でそれほど無理をする必要はない。 それにも関わらずサムスンが

    サムスンはなぜ中国からフッ化水素を調達したのか?(特別寄稿)
  • フジテレビ『バイキング』の取材手法と番組構成への疑問

    昨日、一時Twitterでトレンド入りまでした、フジテレビ「バイキング」で、ピエール瀧さんを扱った番組、皆さんご覧になりましたでしょうか? 今回、私たち「依存症問題の正しい報道を求めるネットワーク」が提出した、 電気グルーヴ ピエール瀧氏の出演作品に対する撤収・放映及び公開自粛・撮り直し等の措置の撤回を求める要望書 が取り上げられたのですが、取材依頼があったのが、おとといの夜のことでした。 電話で取材したいとのことでOKしたのですが、内容としては「要望書の提出先から連絡はありました?」とか「主旨をお聞かせ頂けますか?」と、他のメディアから頂いたご質問とそれほど変わりなく、しかも先方も「そうですよね~」「最近特にこういういきすぎた傾向がありますよねぇ」といった相槌を打ちながら話し、その後音声録音となったので、私としては、当然のごとく「いきすぎた自粛に対し一石を投じる番組」となると思っていまし

    フジテレビ『バイキング』の取材手法と番組構成への疑問
  • 723万円の水素自動車を“タダ”で購入。補助金半端ないって!

    東京・元港区議の益満寛志です。 日々の貧乏生活の中でも無料で楽しめる自動車ディーラー巡りを1つの趣味としているのですが、天下のトヨタ自動車に超絶お買い得すぎる1台があったのでついつい買ってしまいました。 その名も「ミライ」。 定価723.6万円の車です。 トヨタではセンチュリーの次に高い車です。もちろんクラウンよりお高い。 水素で動く世界初の量産燃料電池車という近未来タイプで、デビュー時は箱根駅伝の伴走車としてもお茶の間に顔を出しておりました。 …いやいや、700万を超える水素自動車とか意味わかんない。買うわけないでしょw とまぁ、私もそう思っていたのですが、実はさにあらず。 恐らくトヨタはもとより、全自動車メーカーの新車の中でもダントツにお買い得ではないか? という状況になっております。 カラクリとしてはこうです。 まず、お国の政策として「オリンピックまでに水素社会を推進するよ。補助金じ

    723万円の水素自動車を“タダ”で購入。補助金半端ないって!
    call_me_nots
    call_me_nots 2018/09/14
    “元 港区議”の4文字を文章にしたらこうなる、という感じのエントリ
  • マイナス金利政策により予想されること

    商品の現物価格と先物価格の関係を説明する際に、コンビニエンス・イールド(利便性の利得)という概念が使われる。Hatena Keywordの説明を引用すると、コンビニエンス・イールドとは「現物を保有することによって得られるメリット」のことである。「具体的には、一時的な品不足などで利益を得る可能性や生産を継続することによるメリットなどが考えられる」。そして「現物を保有する代わりに先物を買うことで、保管コストや金利コストを負担せずにすむが、現物を保有することで得られるメリットは失う」ことになる。 預金と現金を比較した場合にも、ある種のコンビニエンス・イールド(利便性の利得)が預金にはあるといえる。現金は、少額の決済にはきわめて便利な手段である。しかし、多額の価値保蔵手段としてみたときには、利便性に劣る面がある。現金には盗難のリスクが伴い、多額になるとかさばり、保管に大きなスペースを必要とする。安

    マイナス金利政策により予想されること
    call_me_nots
    call_me_nots 2016/01/29
    "結局、日銀がより高価に国債を購入し、民間銀行に利益供与をするしかない。見かけだけの変化にしかならないが、外貨建て資産への選好が強まることで、為替レートに円安効果が生じることは考えられる"
  • 社会保障費の伸びは1兆円ではない

    今年(2014年)4月1日から消費税率は5%から8%に引き上がった。今年12月頃には、消費税率を10%に引き上げる政治判断が控えており、スケジュール通りに税率の引き上げが行われれば、2015年10月から消費税率は10%となる。しかし、日の財政状況は極めて厳しい。 今回のような消費増税は財政の持続可能性を高め、世代間格差を改善する試みの重要な一歩であるが、増税の効果を発揮するには、膨張する歳出の改革にも精力的に取り組む姿勢が重要である。その際、歳出改革の主なターゲットになるのは「社会保障」であるはずだが、政府が現在検討を進める社会保障改革は「不十分」との批判も多い。 その理由は、社会保障給付費(年金・医療・介護等)の急速な伸びに対する対応が、今回のような増税のみでは全く追いつかず、もはや一定の抑制が不可避であるからである。以下の図表のとおり、給付費は平成15年度で約84兆円であったが、高齢

    社会保障費の伸びは1兆円ではない
  • 都民のための東京都知事選の争点入門

    2月9日投開票の東京都知事選挙で、何が争点になるかが話題となっている。稿では、特定の候補者を支持も批判もする意図は一切ないが、都民(以下、20歳以上の東京都の有権者を意味する)が都知事選に期待しても意味のないことが明白な争点については、事前に明らかにしたい。 「原発問題」は、東京都知事選挙の最重要争点なのだろうか。そうしたい人がいることはわかる。しかし、東京都知事には、できることと、やりたくてもできないことがある。東京都知事にできることで都民の生活に影響を与える課題こそが、来都知事選で争点とされるにふさわしいものである。特に、国政の課題であって、東京都知事にそもそも権限が何も与えられていないことを、都知事選の争点にできたとしても、そしてそれによって勝った候補者が東京都知事になったとしても、そこで公約したことは結局任期中に実現できるはずもない。 都知事に権限がない政策課題を、都知事選で公

    都民のための東京都知事選の争点入門
  • 新たな量的緩和の効果

    黒田新体制になって最初の金融政策決定会合で打ち出された緩和策は、さすがと思わせる「気度」を示したものであった。これが、人々や企業の「期待」という掴みがたいものにどのような影響を及ぼすかは、率直にいって私にはよく分からない。しかし、もう少し実体があると思われるレベルでの効果については、多少は推論してみることが可能なので、それについて述べておきたい。 資金の供給量を2倍にするとか、ベースマネーの量を2倍にするとかいわれると、錯覚しやすいと思われるが、長期国債を買い上げる代わりにベースマネーが供給されるわけだから、ベースマネーが増える分だけ民間銀行が保有する長期国債の額は減っている。すなわち、別に民間銀行(ましてや家計や企業)の購買力が増加するわけでもなんでもない。民間銀行の保有する金融資産の内訳が変更されることになるだけである。民間銀行の保有する金融資産の総額は一定のままである。 増加を予定

    新たな量的緩和の効果
  • 準備預金90兆円時代(かなり技術的)

    この記事は、前稿「超過準備に対する付利撤廃の効果(やや技術的)」の続編である。というか、こちらの方がむしろ書きたかったことで、先の記事はその前振りのためのものである。 1月22日の金融政策決定会合で決められた「無期限で毎月一定額の資産を買い入れる方式」の導入が2014年初からだというので、もの足りないといった批判を受けているが、現行方式のままで2013年中に日銀行はさらに50兆円ほどの資産買い入れを行うことになる予定である。50兆円というのは半端な額ではないが、日銀はどのようにしてその買い入れ資金を調達するつもりなのだろうか。 「日銀券を刷ればいいだけではないか」と思う人も少なくないだろうが、すでに現金需要には飽和の兆しがみられる。すなわち、いまでも緩やかに増加の傾向にはあるが、日銀券の流通残高(=現金需要額)は80兆円強くらいであり、それが10兆円のオーダーで増加することは見込めない。

    準備預金90兆円時代(かなり技術的)
    call_me_nots
    call_me_nots 2013/01/29
    「現金需要額を上回る日銀券を発行しても、超過分はすぐに日銀に還流してきてしまう。したがって、50兆円の資産増加の見合いは、準備預金の増加に求める以外にはない。」
  • 超過準備に対する付利撤廃の効果(やや技術的)

    前回の記事で「需要を無視して供給だけを増やせないのは、通常の財サービスの場合も、日銀券の場合も同じである」と記したが、もちろん準備預金の場合も同じである。準備預金制度というものが存在し、民間銀行には、受け入れている預金残高に応じて一定額の準備預金を日銀当座預金口座に積む義務が課されている(この額を必要準備、あるいは法定準備と呼ぶ)。いわば必要準備分は強制的に需要が作り出されていることになるが、それを超える分については、保有するかどうかは民間銀行側の自主的な判断次第だということになる。 いまの日の場合、必要準備の額を超えて保有されている準備(これを超過準備と呼ぶ)に対しては、0.1%の金利が支払われるようになっている。ところが、この超過準備に対する付利(利子を払うこと)を撤廃すべきではないかという議論がある。この付利撤廃は、いますぐ出来る追加的な金融緩和措置であり、追加的な金融緩和措置があ

    超過準備に対する付利撤廃の効果(やや技術的)
    call_me_nots
    call_me_nots 2013/01/29
    「0.1%の変化で定量的にみて民間の貸出が大きく増えるとは考えがたい。実際に生じるのは、民間銀行の資金調達意欲が減少するという効果がもっぱらだと見込まれる。」
  • 貨幣発行益(シニョレッジ)の枯渇

    ロイターのインタビューの際に、東大の福田慎一さんが「最近日銀は、長期国債を実勢価格よりやや高めの価格で買い入れるなど、ヘリコプターマネーの色彩にやや染まっているとの見方を示した」ということである。これは、前の記事に[補足]として追加した次の記述 買いオペに応じさせるためには、民間銀行からみて有利な(日銀からみて不利な)条件を提示する必要があります。このようにバランスシートの規模を維持しようとすると、日銀は不利な条件を甘受する必要があるというのが、「日銀のバランスシートに圧縮圧力がかかることになる」ということの意味です。がすでに現実化していることにほかならない話である。 昨年の8月以降、日銀行の保有する長期国債の残高は日銀行券の流通残高を上回るようになっている(すなわち、いわゆる「銀行券ルール」に実質的に違反する状態になっている)。例年12月は、年末年始の支出に備えて日銀券の発行額が増加

    貨幣発行益(シニョレッジ)の枯渇
    call_me_nots
    call_me_nots 2013/01/11
    "もうこれ以上、日銀券を見合いに国債を購入するということは、日銀にはできなくなっているのである。したがって、追加の国債購入資金は、準備預金のかたちで集めるしかない。"
  • 消費増税とインフレの関係

    デフレ脱却を図る観点から、安倍政権は金融政策を強化する見通しである。その際、有力な手段として注目が集まっているのが、日銀法改正も視野に、政府と日銀が政策協定(アコード)を結びつつ、2%のインフレ目標を設定する「インフレ・ターゲット政策」である。 その際、日銀の独立性に配慮する観点から、デフレ脱却の具体的手段は日銀に任せる意向であるとの報道も多い。その場合、インフレ目標を設定するだけで、家計や企業の「インフレ期待」が高まり、実際にインフレが実現する可能性は低い。 だが、財政政策を利用すれば一時的にインフレを起こすことは可能である。その場合、財政赤字を拡大し、公共事業等の財政支出を大幅に拡充する政策が真っ先に取り上げられるが、政府債務(対GDP)が200%に達する日財政ではこれ以上の財政赤字の拡大には限界もあり、それは将来に禍根を残す可能性が高い。 では、他に(一時的でも)インフレを起こす手

    消費増税とインフレの関係
  • 新政権の命運握る「円安」「株高」

    衆議院総選挙の結果、自民党と公明党は3分の2以上の議席を獲得し、民主党は下野することとなった。選挙期間中から、総選挙後に成立するであろう新政権の経済対策に注目が集まっていた。 総選挙後、安倍自民党総裁は早速、新政権での方針を示し始めた。そこでは、政府と日銀行が2%の物価上昇率目標を共有する政策協定を結ぶことや、大規模な2012年度補正予算を編成することを表明した。こうした政策の成否が、新政権の命運を握るとはいえ、何をもって「政策の成否」が測られるのだろうか。 来、「政策の成否」は3か月とか6か月などという短期で見極めるべきものではない。しかし、「政策の成否」を早期に問われる局面が(幸か不幸か)待ち受けている。 というのも、来年7月には参議院選挙が控え、来年9月末までには2014年4月からの消費税増税を予定通り実施するか否かを見極めなければならない。そのときまでには、政治的な判断材料でし

    新政権の命運握る「円安」「株高」
  • 日銀法改正とマルチタスク問題

    今日(4月20日)の日経済新聞朝刊に「緩和へ空前の政治圧力」という記事が載っていたが、「財政と社会保障制度の持続可能な姿を示す」という務を果たすことのないままに、日銀行にプレッシャーをかけることで矛先をかわそうとする、いまの政治の責任転嫁的な体質はどうにかならないものかと思う。 日銀法の改正を検討するというのは、結構だが(もちろん、優先順位としては、財政と社会保障制度の持続可能な姿を示すことに注力することの方が先だが)、インセンティブ・システムの設計は単純で簡単な仕事ではないことは十分に理解した上にしてほしい。少なくともマルチタスク問題くらいは知った上で、議論してもらいたいものである。 池田さんも書いているように、日銀行の目的は法定されている(なお、記事の趣旨は、この池田氏の記事と全く同じである)。その内容を日銀行のホームページでは、次のように紹介している。 日銀行法では、日

    日銀法改正とマルチタスク問題
  • 高橋洋一氏からの返信

    高橋洋一氏から返信をもらった。以下、主要部分を引用する。 なお、引用に際しては、再返信で「いただいた返信の内容をブログ記事の中で引用(公開)して、構わないでしょうか? もし支障があるようでしたら、お手数ですが、早めにお知らせ下さい。」と断りを入れておいたが、別にプライベイトなことを話しているわけではないので、問題はないはずだと考える。 ご質問の件ですが、 成長率が上がると、プライマリー収支が改善することを前提にしています。 すると、高い成長率の場合、債務残高対GDP比を減少させることも可能です。(金利>成長率でも、成長率を高くしてプライマリー収支黒字にすればそうなります) その場合、文章は少し修正して、同じ論法が適用できると考えています。 少し単純化しすぎた文章だと思いました。 これには、私が勘違いしているという指摘はないし、「少し修正して」、「少し単純化しすぎた文章だと思いました」という

    高橋洋一氏からの返信
  • 高橋洋一氏に、ちょっと質問

    経済成長は、大切である。しかし、実質的な成長でなければ意味が乏しく、インフレの高進で名目的に成長率が高まっただけだと、日経済の抱える問題の解決に資することにはならず、逆に問題を悪化させる恐れすらある。例えば、インフレ率の上昇を反映して名目成長率と名目利子率が同率で上昇したとすると、日の財政収支はむしろ悪化する可能性がある。それは、これだけ膨大な公的債務残高を抱えている状況下では、税収の増加を利払い費の増加が上回ると考えられるからである。 こうした点は、私自身も以前に述べたことがある(「デフレ脱却は信頼できる確約か」)が、高橋洋一氏は、こうした主張をする者に「財政破綻論者」というレッテルを貼った上で、そうした主張がインチキであるかのように論じている。しかし、私には高橋氏の主張の方にむしろ論理的な陥穽があるように思われる。こういうときには、人にまず聞いてみた方がよいと思うので、次のような

    高橋洋一氏に、ちょっと質問
  • バーナンキとゼロ金利制約

    少し前に(英国)エコノミスト誌のブログで取り上げられて話題となっていたローレンス・M・ボール(Laurence M. Ball)の「ベン・バーナンキとゼロ金利制約(Ben Bernanke and the Zero Bound)」という論文(pdf)を読んでみた。この論文は、NBER(全米経済研究所)のディスカッション・ペーパー・シリーズの1冊として出されたもので、いいかげんなものではなく、真っ当な学術的研究論文である(ただし、NBERのディスカッション・ペーパーの閲覧は一般には有料なので、論文体に関しては、無料で閲覧可能なジョンズ・ホプキンス大学の方にリンクを張っておいた)。論文のテーマは、「2000年のバーナンキ」と「2011年のバーナンキ」がなぜ違うのかを解明することである。 2000年から03年にかけての時期には、ベン・バーナンキ(当時はプリンストン大学教授で、02年に連邦準備理

    バーナンキとゼロ金利制約
  • 見えないインフレを交易条件で見る

    (今回,アゴラに参加させて頂くことになりました。初回ですので,読みにくいテーマですが,あまり気づかれないけれど重要な問題を書きたいと思います。) 私は,今年の日経済は若干のインフレになると予想していました。4月頃まで原油価格などが上昇傾向にあり,他の国と同じように日も「コスト・プッシュ・インフレ」がもたらされるはずだったからです。ところが,インフレ率はゼロ近辺で推移し,10月の総合指数は-0.2%(対前年比)でした。 これは,円高によって輸入価格が抑えられたからだというのは明らかでしょう。コスト高のインフレは望ましくありません。給与が増えるわけではないので,生活が苦しくなります。それが避けられたことは良かったかもしれません。けれども実際には完全に避けられたわけではなく,交易損失が拡大していて,目に見えなくても実質的な所得低下圧力が働いています。 そして,これは非常に重要な視点だと考えま

    見えないインフレを交易条件で見る
  • 民主主義の過剰 - 『一般意志2.0』

    一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル 著者:東 浩紀 販売元:講談社 (2011-11-22) 販売元:Amazon.co.jp ★★★☆☆ 大阪のダブル選挙で、橋下・松井の「大阪維新の会」が当選した。8時過ぎに当確が出たということは、かなりの大差で圧勝すると見ていいだろう。私は橋下氏の政策にも人格にも共感しないが、彼の独裁をめぐる発言には注目している。もはや民主主義では日の現状はどうにもならないから、大阪府民は彼を選んだのではないか。 その意味で、ルソーをテーマにした書のねらいはおもしろいのだが、その方向は微妙に現代日の問題とずれている。ルソーは一般にいわれるのとは異なって民主主義の元祖ではなく、彼が『社会契約論』で主権者とした一般意志は、それを民主的に集計する手続きのない絶対君主の意志のようなものだ。カール・シュミットが一般意志の概念でヒトラーの独裁を擁護したことはよく知ら

    民主主義の過剰 - 『一般意志2.0』
    call_me_nots
    call_me_nots 2011/11/28
    オリンパスショックを経験してから読むと「先送り」のとらえどころがまた難しくなるので話半分に読むなど
  • TPP問題に思うこと

    はTPP交渉に参加するのか否か…政府が結論を急ぎだしたことから、政界、メディア、そしてネット世界でも賛否を巡って議論が活発化しているが、反対論にも賛成論にも思うところがいろいろある。 今回の論争は、自由化反対の常連である農業関係団体が異業種を巻き込む「統一戦線」を組むことに成功した点が目新しい。「TPPが農産品自由化だけだと思ったら大間違い」というのである。 なるほど、ネットに盛んに流されている反対意見をみると、TPPが及ぼす影響が懸念される農業以外の分野として表1の諸点などが挙げられている。反対論の共通した特徴は、懸念の論拠として米国政府が米ビジネス界の対日要望をとりまとめた 「年次改革要望書」 (日米双方が要望をまとめてぶつける対話。 いまは「日米経済調和対話」という)を挙げていることだ。 これら懸念のすべてを「荒唐無稽」と一笑に付すつもりはないが、幾つもの誤解があると思う。 「2

    TPP問題に思うこと
    call_me_nots
    call_me_nots 2011/10/24
    津上俊哉(@tsugamit)さんの力作