したがって人事や管理職から“部下のモチベーションをいかに高めるか”という問いがよく出るが、部下のモチベーションはもともと高い、というのがミンツバーグの組織論の前提だ。 彼に言わせれば、部下はやる気を持っている状態で職場にやってくるが、様々な“障害”によって――たとえば働く人の人間性を無視した変な上司や経営者、間違った組織のつくり方で――それを損なっていく。 ミンツバーグであれば、モチベーションを低めていく要素をいかに取り除くかがモチベーション・マネジメント上で一番必要だと答えるであろう。実際、ミンツバーグはマネジャーに求められる「10の役割」の一つに「障害除去者」という役割をあげている。マネジャーは部下がモチベーションを下げている要素を自分の責任として考えるべきだというのだ。 組織を預かっているのが自分なのだから、組織や管理がいかに人の邪魔をしないかを考える。組織を正常に戻し部下が本来持っ