6月18日、シンシナティ。 「ウッ!」、「ウッ!」 1球を投げるごとにマウンドから聞こえてくる雄叫びのような声。直球であっても変化球であっても、その声は3階にある記者席まで聞こえてきた。必死に、懸命に、1球1球、全力で腕を振る前田健太の姿がそこにはあった。 2週間ぶりに先発の座を与えられたスポットスターターの役回りで5回を3安打、1四球、1失点。78球で5勝目を挙げた前田は試合後に言った。 「どんどんバッターを攻めて行くことができた。直球をしっかり投げることができているし、どの球種も積極的に投げて行くことができた。今日のような気持ちで続けていきたい」 先発ローテーションの座を与えられながら、10試合に先発して4勝3敗、防御率5.16と不振が続いた前田がブルペンへ配置転換されたのは6月7日のことだった。 デーブ・ロバーツ監督は「自分の投球を取り戻して欲しい。状態を上げて欲しい」と説明したが、