ブックマーク / itlaw.hatenablog.com (11)

  • アジャイル型開発における未完成の責任 東京地判令3.11.25(平30ワ25117) - IT・システム判例メモ

    アジャイル型でアプリ開発を進めたところ、完成に至らなかったことについて、ベンダの不完全履行、プロジェクトマネジメント義務違反等が主張されたが、いずれも否定された事例。 事案の概要 eスポーツ事業の企画・運営等を行う原告(X)は、ゲーマー向けソーシャルアプリの開発を構想し、開発ベンダである被告(Y)との間で、平成28年8月18日に、ゲームに参加する人をマッチングし、参加者同士がコミュニティを形成するソーシャルメディア機能を有するソフトウェア(件ソフトウェア)を開発する契約(件契約)を締結した。対価の額合計は、2450万円。その支払は1000万円、1000万円、450万円の3回にわけて行われることとされ、最後の450万円は、納品物を納入後に支払うこととなっていた。 件契約の締結前には、Xは、検収に合格しなかったら、支払済みの代金を返金する条項を設けることを求めたが、Yは「返金を想定してお

    アジャイル型開発における未完成の責任 東京地判令3.11.25(平30ワ25117) - IT・システム判例メモ
  • プログラムの著作物性と複製の黙示的承諾の有無 大阪地判令6.1.29(令元ワ10940) - IT・システム判例メモ

    相当程度の分量があるプログラムのソースコードには創作性があるとして、著作物性を認めたが、複製・改変することの承諾があったとして、著作権侵害を否定した事例。 事案の概要 Y(土木・建築工事の設計、施工並びに監理業)のプログラマとして勤務していたX(個人)は、Yを退職した後も、Yからプログラムの開発を委託され、納品をしていた。件訴訟では、件プログラム1から6の6つのプログラムにつき、Yが無断で複製等をしたとして、著作権(複製権)又は著作者人格権(同一性保持権及び氏名表示権)の侵害について、合計で約1億2000万円の損害賠償を請求した。 ここで取り上げる争点 (1)プログラムの著作物性 (2)複製または改変に対するXの承諾の有無 裁判所の判断 争点(1)著作物性について Yは、件プログラムは、規約・解放に該当する部分があることや(著作権法10条3項)、ソースコードの記述は、単純な作業を行う

    プログラムの著作物性と複製の黙示的承諾の有無 大阪地判令6.1.29(令元ワ10940) - IT・システム判例メモ
    casm
    casm 2024/04/18
    プログラムの著作物性(創作性要件)に関し、大阪地判R6.1.29は分量の多さを第一に挙げたけど、裁判例の傾向からすると分量だけでは認めない傾向があるよね、とのコメント。
  • 開発業務委託におけるソースコード引渡義務の有無 東京地判令4.3.15(令元ワ29058) - IT・システム判例メモ

    継続的なメンテナンスが予定されていたことから、注文書に明記されていなくても、実行ファイルのみならずソースコードの引渡義務もあったとし、ソースコードの最新版が提供されなければ債務不履行となるとされた事例。 事案の概要 原告(X)は、Zから受注した姿勢計測システム(件計測システム)の設計開発の一部のソフトウェア(件ソフトウェア)の開発を被告(Y)に委託した。XY間では継続的に取引があり、契約書は作成されておらず、見積書、注文書、請求書等の書面でのやり取りが行われていた。 最初の納入は、平成29年2月末に行われ、Yが件ソフトウェアの実行ファイルを納入し、代金約170万円が支払われた。 その後も何度か追加の注文書が出され、件ソフトウェア改良がおこなわれていた。代金として合計で約330万円が支払われた。 件ソフトウェアの改良・機能追加開発の途中である平成31年4月に、件ソフトウェアの開発

    開発業務委託におけるソースコード引渡義務の有無 東京地判令4.3.15(令元ワ29058) - IT・システム判例メモ
    casm
    casm 2024/03/26
    「本件ソフトウェアの開発に従事していた唯一の従業員Dが死亡…開発作業が中止…最新のソースコードの引渡しを求めた…が…発見されなかった。そこで…仕事完成義務又は成果物引渡債務…損害賠償…を求めた。」認容
  • YouTube動画の引用 知財高判令5.3.30(令4ネ10118) - IT・システム判例メモ

    YouTube動画によって名誉毀損されたと主張する者が、当該動画の一部を複製して権利侵害を訴える動画を作成したことについて、引用(著作権法32条1項)が成立するかどうかが問題となった事例。 事案の概要 Yは、【A】というYouTubeチャンネルを運営する人気YouTuberだったが、そのチャンネルにおいて、Xが警察官に逮捕された状況を撮影した動画「不当逮捕の瞬間!警察官の横暴、職権乱用、誤認逮捕か!」(件逮捕動画)を投稿した。 Xは、件逮捕動画が投稿されたことにより、Xの社会的評価を低下させ、肖像権及びプライバシー権を侵害するものであるとして、Yに対し、損害賠償を請求した(訴)。 また、Xは、自身のYouTubeチャンネルを開設し、【A】にてプライバシーが侵害されたと批判する内容の動画(原告動画1)を投稿し、その中で件逮捕動画の一部分を編集した上で利用されていたが、これについて、Y

    YouTube動画の引用 知財高判令5.3.30(令4ネ10118) - IT・システム判例メモ
    casm
    casm 2023/11/22
    条文上の要件「公正な慣行」の判断。「本件でも『明瞭区別性、主従関係を欠く面があったとしても、そのことにより引用の相当性が否定されるものと理解すべきではない』とはっきり述べていることが注目されます。」
  • 複数の個別契約の解除の可否(Z会・日立ソル事件)東京高判令4.10.5(令4ネ2390) - IT・システム判例メモ

    システムの番稼働直後に復旧不能な障害が発生して頓挫した事案において、契約解除の範囲等が争われた事例。 事案の概要 X(Z会)が、Y(日立ソリューションズ)*1に対して基幹システム(件システム)の開発を委託したが、頓挫したために、既払い金の返還や損害賠償等の合計約27.3億円の支払いを請求したという事案である。 件システムの開発は、ウォーターフォール型で行うこととされ、XY間では、基契約は締結されず、フェーズ等に合わせて38個の契約(判決文では、「件個別契約1」などと表記される。)が締結されていた。 Yは順次、設計、開発、テストを進め、総合試験、受入試験、番稼働準備まで行われた。 Xは、2017年1月11日から件システムの番稼働を開始した。同月13日に初回の夜間バッチ処理を実施したところ、夜間に終了せず、異常終了するという障害が発生した(件障害)。その結果、Xは件システム

    複数の個別契約の解除の可否(Z会・日立ソル事件)東京高判令4.10.5(令4ネ2390) - IT・システム判例メモ
    casm
    casm 2023/07/12
    1つのシステム、38個の契約、本番稼働後の初回バッチ処理で不具合発覚、解除の範囲(cf.最判平8.11.12:プール付きクラブ会員権付きマンションのプール未完成とマンション売買解除)と責任制限条項。筆者の評釈も含め面白い
  • スクショ形式による引用の成否 知財高判令5.4.13(令4ネ10060) - IT・システム判例メモ

    スクショ形式で、ツイートを貼り付けた行為について、著作権侵害の成否が争われた事例で、控訴審にて判断が覆った事例。 事案の概要 件は、東京地判令3.12.10(下記リンク)の控訴審である。 itlaw.hatenablog.com 著作権侵害事件ではなく、発信者情報開示請求事件なので、被告(控訴人)は投稿者ではなくプロバイダである。原審では、スクリーンショットされたツイートは短文ながらいずれも著作物であることを認めたうえで、スクリーンショットの方法は、ツイッターの規約違反であるなどの理由で、公正な慣行に合致せず、適法な引用(著作権法32条1項)には当たらないから、権利侵害(著作権侵害)が明らかであるとして、発信者情報の開示を認めたため、プロバイダが控訴した。 なお、その後、別事件ではあるが、知財高判令4.11.2では、プロフィール画像を含むスクリーンショットについて、適法な引用にあたるとし

    スクショ形式による引用の成否 知財高判令5.4.13(令4ネ10060) - IT・システム判例メモ
    casm
    casm 2023/05/08
  • サイト開発の遅れによる契約解除 東京地判令3.12.3(令2ワ5059) - IT・システム判例メモ

    サイトの開発が遅れたことによる契約解除の可否が問題となった事例。 事案の概要 XはYに対し、美容業界のメーカー、ディーラー、ユーザーらが情報交換を行うためのウェブサービスに関するアプリケーションソフト(件アプリ)の開発を委託した(件契約)。 途中で、XY間は、クレジットカード決済機能を追加し、代金を496万8000円(税込)とすることなどを合意した。XはYに対し、前記代金を3回に分けてほぼ全額支払った。 Xは、履行期である2019年3月(具体的な履行期は争いがある。)経過後の5月31日に、 スケジュールやテスト画面もいただけなく,全く状況が分かりませんし,これ以上進めるのは不安です。 もうプロダクトはいただかなくて結構ですので,最短で返金をお願いしたく思います。 と、中止を伝え、開発作業が終了した。 Xは、その後、文書による催告と件契約の解除を通知し、原状回復請求権に基づいて、支払済

    サイト開発の遅れによる契約解除 東京地判令3.12.3(令2ワ5059) - IT・システム判例メモ
  • コインハイブ事件控訴審判決 東京高判令2.2.7 - IT・システム判例メモ

    マイニングツール,Coinhiveをサイトに設置し,閲覧者にツールを実行させていたことについて,不正指令電磁的記録保管罪の成否が問題となった事件の控訴審判決。一審無罪判決から約10カ月たったところ,高裁で逆転有罪となった。弁護人・平野敬先生より判決文を見せていただいた(ブログで紹介することについても了解を得ています。)。 事案の概要及び原審の判断 当ブログで原審を紹介したので,そちらを参照いただきたい。 itlaw.hatenablog.com 原審では,刑法168条の2第1項の「不正指令電磁的記録」の該当性について,その要件である「反意図性」は肯定したが,社会的に許容されていなかったとまでは言えないとして,「不正性」を否定するとともに,目的要件も否定し,無罪とした。 ここで取り上げる争点 原審同様,反意図性(「その意図に沿うべき動作をさせず,又はその意図に反する動作をさせる」」)と不正性

    コインハイブ事件控訴審判決 東京高判令2.2.7 - IT・システム判例メモ
  • 納期徒過に関するベンダの帰責性 東京地判平31.2.4(平29ワ14039) - IT・システム判例メモ

    期限が過ぎてもシステムが納入されないとしてユーザが契約解除をしたのに対し,ベンダが契約上の対価の支払を行っていないとして損害賠償請求を求めたという事案。 事案の概要 ユーザXが,ベンダYに対し,レセプト点検システム(件システム)の開発を委託したが,Xが,納期までに完成させられなかったことを理由に民法541条に基づく解除または履行不能による解除を主張し,原状回復請求をしたのに対し(訴),Yは,件システムの開発代金を払わなかったことによる損害賠償または,Xによる解除は民法641条に基づく解除であるとして損害賠償を請求した(反訴)。 平成27年8月12日に締結された件システムの開発に関する契約(件システム開発契約)は,Yのレセプト審査システムのエンジンをベースに件仕様に従ったカスタマイズを行うことを内容としていた(契約条件の交渉が長引いたが,着手は締結に先駆けて行われていた。)。開発

    納期徒過に関するベンダの帰責性 東京地判平31.2.4(平29ワ14039) - IT・システム判例メモ
    casm
    casm 2020/02/07
    Fit&Gap分析。開発契約前に実施する必要があることからすると,契約締結上の過失のような構成になるんだろうか(そして,事業者の契約締結上の過失はハードルが高かろう。)。
  • 転売サイトから入手したアマゾンギフト券とアカウント停止扱い 東京地判平30.3.9(平28ワ38586) - IT・システム判例メモ

    転売サイトからアマゾンギフト券を入手し,複数アカウントにて使用しようとしたところ,アカウントが停止されたという事案。 事案の概要 アマゾンのアカウントを停止されたXが,当該アカウントに登録済みであったギフト券(件ギフト券)の未使用残高が使用不能になったと主張して,アマゾンギフトカードジャパン(Y)に対し,不当利得返還請求(約170万円)を行った事案である。 アカウントが停止された経緯は,Xが,非正規サイトZから計234万円相当の件ギフト券を購入し,それを14個のアカウント(件各アカウント)に件ギフト券を登録し,購入数量制限がかかった商品(MS Office)を多数購入しようとしていたところ,アマゾンが,2度の警告を経て件各アカウントの利用停止措置を採ったということのようである。 なお,アマゾンの規約において,裁量の下でアカウントの停止等ができること,同一利用者が複数のアカウントを

    転売サイトから入手したアマゾンギフト券とアカウント停止扱い 東京地判平30.3.9(平28ワ38586) - IT・システム判例メモ
    casm
    casm 2020/01/02
    あとで資金決済に関する法律(平21法59号)調べておく。
  • ソースコードと営業秘密の不正使用 東京地判平30.11.29(平27ワ16423) - IT・システム判例メモ

    元従業員が競合ソフトウェアの開発に関わったという事例におけるソースコードの「使用」が争点となった事例。 事案の概要 基的な事実関係は,東京地判平27.6.25及びその控訴審・知財高判平28.3.23と同様だと思われる。いずれもXの元従業員A,Bらが所属するYが開発・販売する字幕制作用ソフトウェアの権利関係について争いになった事件だが,前訴は,プログラム及びデータベースの著作権侵害を理由に権利行使したのに対し(前訴にかかる請求はいずれも棄却。),訴は,ソースコード等が営業秘密であるとして,不正競争防止法に基づく請求を行った事案である。 ここで取り上げる争点 (1)Yが件ソースコードを使用したか (2)上記の行為が不正競争行為に該当するか 裁判所の判断 件の特徴として,XとYそれぞれのソースコードの類似点を分析するために鑑定が行われたことが挙げられる。その結果等は判決文に詳細に表れてい

    ソースコードと営業秘密の不正使用 東京地判平30.11.29(平27ワ16423) - IT・システム判例メモ
    casm
    casm 2019/09/03
    控訴審で全部棄却に変更された模様。知財高裁平成30(ネ)10092・令和元年8月21日判決→ http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/894/088894_hanrei.pdf
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