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ブックマーク / takekuma.cocolog-nifty.com (9)

  • たけくまメモ : 『テヅカ・イズ・デッドを読む』補足

    『テヅカ・イズ・デッドを読む(2)』のコメント欄で、マローさんが次のようなコメントを投稿されました。 《思いつきですが・・・強いライバルが次から次へとというジャンプスタイルって、かつて手塚先生がライバル視していた福井英一さんのスタイルのような気がするのですが・・・いやイガグリくんとか知らないのであくまで推測なんですけど。》(マロー) これへのレスを書いていたら、長文になり、しかも重要な内容を含んだと思いましたので、改めてエントリとして独立させます。 >マローさま 闘いの連続でストーリーを構成する作劇は、俗に「御前試合もの」(または「十番勝負もの」)といって、大衆文芸でははるか以前からあるものです(おそらく江戸時代から)。お殿様の御前で、諸国の豪傑が次々に試合をし、誰が「天下一」かを競うというもので、実は伝統的な娯楽のテクニックなのです。 が、これは手塚治虫の近代的なドラマツルギーとは全く対

  • 川内康範先生の想い出(2): たけくまメモ

    ←インタビュー中、赤田祐一編集長が撮影した川内先生(QJ創刊2号) QJ川内インタビューのある意味での白眉は、戦時中先生が徴兵されて海軍に入ったあたりの話ですが、ここで先生は決定的な体験をします。そこは最近「森進一が怯える川内康範の知られざる履歴書」という記事を載せた「週刊新潮」ですら遠慮して書かなかった部分で、先生の秘書から「私も初めて聞きました」とまで言われた重要な話なのですが、先生が戦後、玉砕した英霊たちの遺骨収集活動に邁進され「憂国の士」となったきっかけとして、非常に納得できる話でした。 ずるいようですが、詳細はこの秋再刊される文庫にゆずります。まあごく簡単に書くなら、先生には「病気除隊」して自分だけが生き残り、多くの戦友が死んだことに対する後ろめたさというか、贖罪意識があるわけです。その話をされたとき、先生は声をつまらせ、ふりしぼるように「俺は卑怯者だ!」と慟哭されたことが昨日

  • 川内康範先生の想い出(1): たけくまメモ

    ←ダンディな川内康範先生 齢87になって、再びマスコミをにぎわせておられる川内康範先生ですが、愛弟子であったにもかかわらず礼儀を失した森進一を破門したり、押しかけた無礼なテレビクルーに向かってステッキを振り回して一喝するなど、お元気そうでなによりです。ステッキの翌日はマスコミ各社にお菓子をふるまわれるなど、怒っても気配りを忘れないところもさすがといえます。 俺が川内先生に最初にお目にかかったのは1994年8月のことでした。当時仕事をしていた雑誌『クイック・ジャパン』(太田出版)で、俺は「QJ名物老人インタビュー」と呼ばれた連載をしていました。オリバー君を日に呼んだプロモーター康芳夫氏・「怪獣図鑑」の挿絵画家・石原豪人先生に続いて、川内先生は三人目でしたが、なにしろあの『月光仮面』『レインボーマン』の原作者であり、お元気なうちにぜひお話を伺いたいと思っていたのです。 ←川内インタビューが載

    catfist
    catfist 2007/03/25
    すげーとしか言いようが。
  • たけくまメモ: 西村博之氏という存在

    前回のエントリで書き忘れたんですが、俺にとって、昔からどうにも不思議なのは、「実名」を晒すことを、多くの人が過剰に恐れすぎているんじゃないかということです。 実名だろうが匿名だろうが、他人に非難されるようなことを書かなければいいだけの話なんじゃないでしょうか。 俺、実名さらして、時には顔写真まで載っける文章書いて20数年ですけど、身の危険を感じるほど他人から恨まれたり、ストーキングされたことって一度もないですよ。(小さなクレームはしょっちゅうですし、ネットでつっこまれることはよくありますが)。 まあ仕事の原稿の場合、編集のチェックが入ることも大きいですけどね。でもライター個人としても、その文章を発表したことで生じるいろんな可能性をあらかじめ考えてから書くようにしていますけど。一方でネットでは自分の判断で発表しますが、こちらも特にこれといったトラブルはないなあ(どこまでトラブルと考えるかによ

  • 許される模倣・許されない模倣: たけくまメモ

    前エントリで、「竹熊はトレースと模写の違いを混同して議論している」というような疑問が寄せられました。具体的にはおがたさん、fineさん、ニュー速+住人さんなどからの書き込みです。まずおがたさんが、 《どうも竹熊さんの論旨に違和感を覚えるのですが、 A) 元絵を下に敷いてトレースして描く B) 元絵を隣において描く C) 元絵を思い出しながら描く の3つは分けて考えるべきではないでしょうか? 今回の事件はAですよね。竹熊さんが論じているのは主にC、ひょっとすればBも入る程度で、Aは入っているのかな? もちろん、じつはこの3つ、境界線は曖昧であったりするのですが、 すくなくともBとCの地点から見れば、これらとAとの距離は非常に遠いものがあるように思います。》 と書き込まれ、ついでfineさんが、 《 同感です。 私もたけくまさんはBとCについて書かれていると受け取りましたし、それであればたけく

  • たけくまメモ : マンガ家の描写盗用問題についての私見

    例の少女マンガ家による「スラムダンク」の構図盗用問題について、「竹熊の意見が聞きたい」という声があちこちから寄せられるようになりました。著作権問題についてはかねてから関心のあるところであり、この際「報道から知りうる範囲」を材料にして、自分の意見を述べてみたいと思います。 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0510/18/news099.html http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20051019k0000m040140000c.html http://www.kodansha.co.jp/info.html(←講談社お詫び文/現在削除) http://www.kodansha.co.jp/betsufure/(←編集部&著者お詫び文) http://cabin.jp/k55yuki/(←ネット上で設

    catfist
    catfist 2005/10/20
    異様な厳しさだとは思った
  • アカデミズムとマンガ: たけくまメモ

    年下の友人である宮大人くん(ひろひと、と読む)が、このたびブログを始めたようであります。彼はmixiにもアカウントを持っていたんですが、「博士論文執筆のため」という理由でほとんど書き込みはしていなかったので、いきなりの方針変更。この春から北九州市立大学で教鞭を執ることになり、向こうに引っ越したことで心境変化があったのでしょうか。それとも十年越しの大論文が仕上がったのか? 宮くんのことを知ったのは、確か夏目房之介さん経由で、「若手のマンガ研究者で、凄いのがいる」と教えられたのでした。当時の彼は筑波を卒業して東大の大学院に所属していました。そこで彼はマンガの歴史を研究しており、特に「手塚治虫以前」というか、手塚治虫に繋がる戦前日マンガの系譜について、地道に原典を当たりながら論文を執筆していたのです。 手塚治虫というと、これまでは「まんが道史観」といいますか、どうしても「現在あるマンガ状況

  • 伊藤剛『テヅカ・イズ・デッド』を読む(1): たけくまメモ

    以下の文章は先頃刊行された伊藤剛の著作『テヅカ・イズ・デッド』を読んでの感想であります。とはいえ書き始めたらとまらなくなり、内容紹介を含めて相当な分量になってしまいました(しかも、まだ書き終わっていない)。マンガ論としては久しぶりに出た格的な理論的著作であり、2年半に及ぶ書の「産みの苦しみ」のプロセスを友人として端から見ていただけに、個人的にも感慨深いものがあるのは確かであります。 マンガ表現やマンガ史における新見解をいくつも含んだ野心作で、かなり専門的な内容(価格も専門書的)ですが、難解な用語をことさらに駆使しているわけではなく(むしろそれは最小限に抑えている感じ)、マンガ表現に関心のある人なら、一度は目を通して損はない出来だと断言できます。この感想はまだ執筆途中ですが、なかなか終わらないので「短期連載」にしました。書における伊藤くんの論旨には私自身のマンガ観にも反省を迫る部分があ

  • OTAKU展、その後の難題: たけくまメモ

    以前「たけくまメモ」でもレポートしたOTAKU展ですが、ベネチア・ビエンナーレに続き東京での展示も好評のうちに終了したことは皆さんもご存じでしょう。ところが、ここに来て思わぬ難題が持ち上がっているようです。 企画者である森川嘉一郎氏は桑沢デザイン研究所の客員教授で、俺も同校で非常勤やってるんでよく顔を合わせるんですよ。それでこないだ会ったら、なんか浮かない顔してるんで事情を聞きましたところ、 「OTAKU展の展示物を引き取ってくれる施設が見つからない」 とのこと。要するにあれですよ、あそこで展示された玩とかフィギュアとか、同人誌とかポスターとか、その他もろもろの膨大なオタクアイテムの行き場に困っているそうなんです。 まあねえ、まんだらけとか、アキバのなんとかショップに持ち込むとか、いっそヤフオクに出品すれば買い手はいるとは思いますけど、森川氏の希望はこれを文化遺産として丸ごと永久保存する

    catfist
    catfist 2005/06/17
    OTAKU展終了後の展示の引き取り手が見つからない、という話
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