著者は今までアジアや中東やアフリカの貧しい国々を取材し、貧困、紛争、犯罪といったことのルポルタージュを書いてきた人だ。そうした中で多くのストリートチルドレンを目にした。ところが、そうした国々でもその国が経済発展をすると、わずか1年、2年といった短い期間で道端に横たわる子供の姿をほとんど見かけなくなる。 著者は、政府が社会の大きな問題に蓋をしたまま、力づくでストリートチルドレンたちを追い払い、うわべだけを飾り立てているように感じた。そうした経験がきっかけとなって、日本の戦後の浮浪児をテーマにしたドキュメンタリーに取り組もうと思い立ったそうだ。 戦後の調査で孤児の数は全国で12万人余に上ることが明らかになっていて、駅前や闇市には浮浪児となった子供たちが大勢いたはずなのに、日本の政府は今の新興国と同じように彼らを町からも記録からも抹殺して新しくきらびやかな町をつくり上げていった。それが今の上野で
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