加藤:はい。真珠湾攻撃についての勅語が海軍に出れば、マレー攻略作戦についての勅語が陸軍にも出るといったように、バランスをとるために、どんどん増えていきました。天皇機関説などを批判して天皇の主権は絶対だといっていた荒木貞夫陸相時代に、天皇の真意とは関係なく勅語が多く出されたのは何とも皮肉な話です。勅語に接した軍人からすれば、天皇が国際連盟脱退に心を痛めていたなど、夢にも思わなかったでしょう。 つまり、天皇の意思とは関係なく、勇ましい感状や勅語が乱発されてしまう。一方で、現場の本当の「実績」は検証されない。これは、完全な悪循環です。現場は失敗を責められるのを恐れ、ウソをついてまで自軍の成果を過大に報告し、中央は、後退や失敗には厳しく当たるだけで、失敗から学ぶ姿勢を怠った。失敗から学ぶのはマネジメントの基本だと思うのですが…。 池上:うーん、となると、日本にはいまだに悪しき制度が残っていますね。
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