認知症で判断能力が低下している奈良市内の女性(83)に高額な呉服や宝飾品などを次々と購入させたとして、女性と女性の長男(61)が、呉服販売会社「京ろまん」(奈良市、郡史朗社長)などに対し、支払代金約3千万円の返還を求めた訴訟の判決が9日、奈良地裁であった。宮本初美裁判官は「売買は通常の商取引の範囲を超え、公序良俗に反する」として、京ろまんに約1390万円の支払いを命じた。 宮本裁判官は判決で、京ろまんの従業員らは平成16年ごろには、女性の態度などから、認知症による財産管理能力の低下に気付くことができたと認定。「親しい友人関係のように女性に思いこませ、商品を大量に購入させた」と売買の違法性を指摘した。 そのうえで、女性が11年から19年までの間に、京ろまんから購入した呉服などの計約3600万円のうち、16年以降の代金の返還を命じた。 京ろまんは「内容を慎重かつ十分に吟味した上で適切に対処させ