来年五月三十一日で約六十年の歴史に幕を下ろすことが、十日明らかになったさいか屋川崎店(川崎市川崎区)。川崎の顔として広く親しまれてきた老舗百貨店の閉店のニュースに、買い物客からは「寂しい」と惜しむ声が上がった。 (上條憲也) 横須賀市で創業したさいか屋は、川崎店を一九五六年に開店。業績低迷から、二〇〇九年に私的整理の手法である「事業再生ADR」を使って経営再建に着手した。 川崎店は土地建物を売却し、売却先から借り受けて営業を続けるとともに、一〇年には大型洋服専門店などのテナントを入れるなどして収益アップに努めてきた。しかし、JR川崎駅西口に大型商業施設「ラゾーナ川崎プラザ」が開業するなど、近年は近隣商業施設との競争も激化していた。 歳暮や中元などの購入で三十年以上、川崎店を利用しているという川崎区の無職平田正憲さん(73)は「昔に比べて客が少なくなったのに、よく営業していると応援していたと