高校2年生の上杉和典は、全国模試でも数学は常にトップで、自分の生涯は数学に捧げようと考えている。そんな彼が、夜の公園で異様な雰囲気で座る同学年の片山悠飛を見かける。野球部のエースで4番、文武に優れる片山は和典も一目置く存在で、不思議な雰囲気に気を引かれながらも、声をかけることは出来なかった。 それからしばらくのち、その片山が亡くなったと聞く。骨髄異形成症候群という病気だったという。そして彼が野球部内に亀裂を生じさせてまで、未経験者の大木を捕手に据え、育てようと躍起になっていた。大木は運動神経こそ良さそうだが、素行もあまり良くなく、無神経で周囲の気持ちを逆なですることも多いため、チームの中で浮いている。 自分の命に限りのあるような状態で、片山はなぜそんな男に入れ込んだのだろうと、和典は片山の思いを知ることにのめり込んでいく・・・。 高校野球がかなりの比重を占めているが、よくある甲子園の感動物