昨年8月に開かれた第8回ウランバートル国際シンポジウム「日モ関係の歴史、現状と展望:21世紀東アジア新秩序の構築にむけて」の論集が出版されました。 ボルジギン・フスレ編『日モ関係の歴史、現状と展望:21世紀東アジア新秩序の構築にむけて』,風響社,2016年3月(実際の刊行は今月),定価:3500円+税,ISBN:987-4-89489-807-3,218頁。 拙稿「強兵なき富強? 近現代東アジアにおける四つの「戦後」」より 第一次世界大戦後,国際関係の基調をなしたのは,莫大な人的物的損害をもたらした戦禍への反省であり,そうした反省にもとづく国際協調主義である。新しく設立された国際連盟には,国家間の利害調整の役割が期待された。また,ウィルソン大統領の提唱した「新外交」は,国際規範としての公開外交の比重を高め,逆に過去の秘密外交への批判を強めた。たとえば,日清戦争後に締結された日本を仮想敵とす