「電気は貯められない」は過去の話――。なぜいま、「貯める」技術が重視され、急速に進化を遂げているのか。米国立ローレンス・バークリー研究所の白石賢司研究員(エネルギー政策学)に聞きました。(聞き手・荒ちひろ) 地球温暖化を防ぐため、日本を含めた先進諸国は、2050年までに二酸化炭素の排出量を実質ゼロにするという野心的な目標を掲げている。そのために化石燃料からCO2を出さない再生可能エネルギーへの転換は必須であり、現在の技術でも脱炭素化の大部分は十分に実現可能だというのが世界的な共通認識だ。 電力は、最も脱炭素化しやすいエネルギーだ。現在の世界全体の発電量のうち再エネ比率は約13%だが、太陽光と風力を中心に、今後7、8割を占めるようになると考えられている。 ただ太陽光や風力といった変動性再生可能エネルギーには、昼夜や季節によって発電量が変わる「変動性」と、天候などの条件によって発電量が予測でき