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ブックマーク / gnabikes.hatenablog.com (24)

  • クリント・イーストウッド監督作品『チェンジリング』 - sekibang 1.0

    オリジナル・サウンドトラック Changelingposted with amazlet at 09.02.21クリント・イーストウッド ジェネオン エンタテインメント (2009-02-04) 売り上げランキング: 53478 Amazon.co.jp で詳細を見る クリント・イーストウッドの新作。日公開前からものすごく楽しみにしていたのだが、期待通り素晴らしい出来栄えで、若干盛り込みすぎな部分があるものの(ヒューマン・ドラマとサスペンスがごった煮になっていたりする。しかもサスペンス部分は超ハードで格的に恐ろしい)、中盤で号泣してしまったし、やはりエンディングはイーストウッドらしくモヤモヤっと心にわだかまりが残る感じとなっていて大満足だった。そして、今回も音楽の使い方が異常。イーストウッドが書く映画作品については過去にエントリをあげているけれども、イーストウッドはあえてこういう風に音

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  • 上野修『スピノザの世界――神あるいは自然』 - sekibang 1.0

    スピノザの世界―神あるいは自然posted with amazlet at 08.11.21上野 修 講談社 売り上げランキング: 43343 Amazon.co.jp で詳細を見る このスピノザ入門。思想系のを読んでいるとまれにスピノザの名前が出てくることがあり、いつか読もうと思っていたのだが、これはかなり面白かった。「スピノザは、ほとんど困惑させるほどまでにミニマリストなのである。(中略)ごちゃごちゃ言わず、ただ、できるだけ速やかに事物自身の語りに到達する(P.10)」だとか「いま・ここにある世界は必然的であって、現にいま・ここにそうなっているのだから、それ以外にはありえなかった」だとか、まるでアドルノと正反対だなぁ……と思う。 アドルノほど「ごちゃごちゃ言って、事物自身の語りに到達しない(そして事物自身は語らない)」スタイルの思想家はいなかったろうし、アドルノほど「いま・ここでそ

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  • 黒沢清監督作品『トウキョウソナタ』 - sekibang 1.0

    トウキョウソナタ(竹書房文庫た1-1) (竹書房文庫 た 1-1)posted with amazlet at 08.10.11田中 幸子 竹書房 売り上げランキング: 182210 Amazon.co.jp で詳細を見る 黒沢清の最新作『トウキョウソナタ』を観た。「素晴らしかった!」の一言でこの感想を締めくくりたいぐらいの傑作で、ラストシーンで号泣してしまった。出演している役者の演技(主演の面々はもちろん、津田寛治のセリフがグサグサ刺さってくるところも良かった……)、演出、舞台、脚、すべてがうまく作用して、ものすごく純度の高い映画になっていた気がする。観ていてドキドキするような絵も多く、とくに夜のシーンで延々とスクリーンの真ん中に白波が水平線のように走っているのを背景に、小泉今日子の背中が……という構図などにビリビリくる。また、抑制された音楽(メロトロンっぽい音が鳴っているのがツボ)と

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  • リュック・フェラーリ - sekibang 1.0

    Cycle des Souvenirsposted with amazlet at 08.09.21Luc Ferrari Blue Chopsticks (2002-02-12) 売り上げランキング: 194213 Amazon.co.jp で詳細を見る 「ウチに聴いていないリュック・フェラーリのCDがあるんだけど、もし欲しかったらあげるよー」とセレブの方がおっしゃられたのでありがたく頂いた。しかも2枚も(ありがとうございました!)。1枚は上記のCDで、もう1枚は初期のテープ音楽を集めたもの(おへその写真がジャケットになっている)。久しぶりにこの手の電子音楽を聴いたけれども、やはり初期作品で聴かれる「昔の特撮に出てくる計算機のようなシンセサイザー」が出すメタリックなノイズはいつ聴いても素晴らしい。デジタルシンセにはとても出せない凶暴な音……これを聴くためだけに私はシュトックハウゼンの《コ

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  • クリント・イーストウッド監督作品『ミスティック・リバー』 - sekibang 1.0

    ミスティック・リバーposted with amazlet at 08.08.13ワーナー・ホーム・ビデオ (2007-04-06) 売り上げランキング: 9806 Amazon.co.jp で詳細を見る またすごい映画を観てしまった……。 3人のこどもがいて、そのうちの1人の身に事件が起こる。被害者に選ばれたその1人の人生は、そこで大きく変る。選ばれなかった2人の人生もそれぞれ進んでいく。その進行はまったくの不可逆である。一度進んだ時計は2度と戻らない。しかし、被害者に「選ばれた」のは、運命でもなんでもなく、まったくの偶然によってなされている。この偶然性の描かれ方がものすごく深刻で良かった。とにかく、選ばれた人の落ち方がハンパじゃない。なんか知らないけど、家族巻き込んでドン底まで落ちているし、全然ハッピーエンドじゃない(のに最後はやたらとハートフルな音楽が流れる。音楽はイーストウッド自身

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  • 内在系/超越系、または信仰と論理について - sekibang 1.0

    演奏会が終わって帰ってきて、半日ぐらいずっとYoutubeで昔のテレビ映像など観ている。なかでもかなり面白かったのがこの昔の『朝まで生テレビ』の編集版映像。この回は「宗教」がテーマになっていて、オウム真理教の麻原彰晃とか栗慎一郎(『今世紀最大の宗教はマルクス主義だ』とかつまんないことを言ってる)とかが出演していて、全部で5の動画はなかなか見ごたえがある。抜粋されているのは主に「宗教はなぜ必要なのか」について語られている部分だろうか。 冒頭にあげたのは4目の動画で、ここでは池田晶子と景山民夫(どちらも故人だ)のかなりエキサイティングな議論を観ることができる。全編に渡り、池田は「どうして神の存在が必要なのか」という疑問を周囲の宗教家・信者に向ける。ものすごく素朴な態度をもって。 「自分の存在であるとか、宇宙の存在であるとか、そういった規定をしようとする。それは全て自分の頭のなかでおこなわ

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  • 矢作俊彦『ロング・グッドバイ』 - sekibang 1.0

    ロング・グッドバイ (角川文庫 (や31-5))posted with amazlet at 08.06.28矢作 俊彦 角川書店 売り上げランキング: 51771 Amazon.co.jp で詳細を見る 「ロング・グッドバイ」と言っても、レイモンド・チャンドラーの「The Long Goodbye」ではなくて、矢作俊彦による「The Wrong Goodbye」である。言うまでも無いけれど、素晴らしい小説だった。矢作の作品を読むのは久しぶりだったが、「小説のテクニック」で言えばこの作家ほど上手い人はいないのではないか、と思わせられる。「これはカッコ良い小説だ!」という他につける言葉を寄せ付けないほど強いエンターテイメント性と叙情を兼ね備えた「小説」を書く、ということはこの作家にしかできないことなんじゃないか、って思ったりする。 とはいえ、そこで感じられる「カッコ良さ」とは、極めて男性的な

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  • 中上健次『奇蹟』 - 「石版!」

    奇蹟―中上健次選集〈7〉 (小学館文庫)posted with amazlet at 08.06.20中上 健次 小学館 売り上げランキング: 286020 Amazon.co.jp で詳細を見る 中上健次っていう作家は、私の中で「無茶苦茶好きなんだけれど、なかなか読めない作家」っていう位置づけであって、そういう感覚は「美味しいけど、強すぎるお酒」みたいな感覚に似ている。読もう(飲もう)と思う、しかし、独特の匂いが強すぎて「まあ、今日は良いかな」って思ってしまってなかなか手が出せない。でも、一旦、手を出してしまうとグ、グググとその魅力に引き込まれてしまって「ああ。これだよ。こういうのを読むため(飲むため)に、私は生きてるんじゃなかろか」って思ってしまう。最近読み終えた『奇蹟』もまったくそういう小説だった。 良い小説、というのは割りとたくさんある。最近の読んだ最近の作家では川上弘美は面白かっ

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  • クリント・イーストウッド監督作品『硫黄島からの手紙』 - sekibang 1.0

    硫黄島からの手紙posted with amazlet at 08.05.10ワーナー・ホーム・ビデオ (2007-12-07) 売り上げランキング: 1418 Amazon.co.jp で詳細を見る 『父親たちの星条旗』と『硫黄島からの手紙』のどちらが良く思えるか、というのは完全に趣味の範囲の話だけれど、映画としての分かりやすさとか上手くできている感じは断然こちらの『硫黄島からの手紙』だったと言えると思う。どちらも文句のつけようが無い傑作で「どうやったらこんなにポンポンすごい映画を続けて作れるんだ!」と唸らざるをえないが、前者が徹底したアンチヒロイズムを映画のなかに敷衍しているのに対して、後者は渡辺謙演じる栗林中将を中心とした正攻法のヒーロー映画として撮られている。だから、後者に分があるように感じられるのは自然である、と思う。しかし、イーストウッドって映画の外でも中でも超人じみているな…

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  • クリント・イーストウッド監督作品『父親たちの星条旗』 - sekibang 1.0

    父親たちの星条旗posted with amazlet at 08.05.06ワーナー・ホーム・ビデオ (2007-12-07) 売り上げランキング: 3004 Amazon.co.jp で詳細を見る ゴールデンウィークの締めくくりに『父親たちの星条旗』を観る。イーストウッドが出演していない彼の監督作品を観るのは実のところ初めてだったのだけれど、言うまでもなく大傑作。ホントにすごい映画に出来上がっている。「戦争は悲惨だ」、「戦争はダメ、絶対」というメッセージを伝えるところに留まらず、痛烈かつダークなマスメディア批判を含む問題作であると思う。こんな映画を、アメリカの、映画界(というメディア)にいる人間が撮ったのはひとつの事件として認識されても良い。 映画は「硫黄島で戦った兵士が英雄に祭り上げられ、戦時国債のキャンペーンのために偶像のように利用される」というストーリーを大きな核として進んでいく

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  • 中原昌也『中原昌也作業日誌2004-2007』 - sekibang 1.0

    中原昌也 作業日誌 2004→2007posted with amazlet at 08.04.24中原 昌也 boid 売り上げランキング: 965 Amazon.co.jp で詳細を見る 読了。最初から最後までとても面白く読みました。もはや病的ともいえる怒涛の量の買物量(書籍・CD・DVD)の記録はもちろん、やはり自分のリアルライフと重なりあう部分が書かれているのが面白い。2004年から2007年の9月までの間に、どのようなイベントがあったか、どのような映画が公開されたか、どのような人物が亡くなったか……etcを知ることもできる貴重なドキュメントでもありました。この日記を読んでいて、シド・バレットが亡くなったのが2006年だということや、去年は山口小夜子が亡くなったよな……ということを思い出しました。 中原昌也の趣味が現代音楽もカバーしていることをこので初めて知りました。ブーレーズ、

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  • 中原昌也『中原昌也作業日誌2004-2007』 - sekibang 1.0

    中原昌也 作業日誌 2004→2007posted with amazlet at 08.04.24中原 昌也 boid 売り上げランキング: 965 Amazon.co.jp で詳細を見る まだ読み始めたばかりだけれど、あまりの感動に読みながら軽い吐き気を催しそうなほど良いなので当ブログでも紹介させていただきます。ホント、素晴らしい。「金がない」「書けない」という愚痴がほぼ毎日飛び交っている日文学史上最低・最高な日記文学であるように思われます――暗澹たる状況のなかで、毎日必死になっている筆者の不器用な生真面目さには心が打たれてしまうのです。性的な記述を求めて乙女ブロガーの日記などを読んでいる場合ではございません!当にジリジリとした「生」を写す文章が読みたければ、いますぐ書店にダッシュしてこのを買うべきです。 ……「あんな奴みたいにはなりたくねぇ」「あいつにくらべりゃ自分はマシだ」

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  • ケータイ小説を書きはじめました - sekibang 1.0

    「石版!」別館 最近、いつも楽しみに文章を読ませていただいているブロガーの方々にチラホラ小説を書かれている方が見受けられ、それがとても面白かったので私もブログで小説を書いてみることにしました。ケータイ小説を(ケータイ小説ってどういうものなのかよくわかんないけど、ケータイでも見れるブログで書いてるからケータイ小説っていうことにします)。 現在は『すべてを押し流す水の流れ』という小説を執筆中。これが完成すれば私にとって「記念すべき処女小説」となる予定です。どういう風に読まれるか(面白いかどうか)はまったくわかりませんが、書くのはとても面白いです。

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  • 祭りの実効性を問う - sekibang 1.0

    挑発する知―愛国とナショナリズムを問う (ちくま文庫 み 18-4)posted with amazlet on 08.03.07姜 尚中 宮台 真司 筑摩書房 (2007/11) 売り上げランキング: 54562 Amazon.co.jp で詳細を見る もう少し宮台・姜の対談について書いておく(昨晩のエントリは飲みながら書いていたおかげでいつも以上にグダグダになってしまった……)。 これを読んで意外だったのは、宮台が「祭り」に対して肯定的な評価を与えている、という点である。ここで宮台は祭りを「来何のつながりも持たない(都市的な)者たちが、『祭り』的な共通前提を与えられたことによって大きく盛り上がること」の比喩として用いている。ちなみにこれを最初に言い出したのは、北田暁大だったろうか。彼ら曰く、ワールドカップ。渋谷の街で大騒ぎする群集は愛国心を持ってサッカーを観戦し、盛り上がっていたわ

  • 姜尚中・宮台真司『挑発する知――愛国とナショナリズムを問う』 - sekibang 1.0

    挑発する知―愛国とナショナリズムを問う (ちくま文庫 み 18-4)posted with amazlet on 08.03.07姜 尚中 宮台 真司 筑摩書房 (2007/11) 売り上げランキング: 54562 Amazon.co.jp で詳細を見る 2003年に双風社から刊行された『挑発する知――国家、思想、そして知識を考える』の文庫化。文庫化に当たって新たに「日アメリカ・アジアを問う」という章が付け加えられている。双風社からは、宮台真司の対談がほかにも出ている。北田暁大との『限界の思考』*1は、ここ数年で出版された社会学・思想系のの中でもっとも刺激的かつ教育的な内容だったが、姜尚中とのこれもとても面白かった。 政治的な話題が多いのに私のような政治的なものに対してのセンスがまるで欠落している人間でも上手く読めるように作られているのが親切、というかこれは政治的なものに対して鈍感

  • 福田和也『奇妙な廃墟――フランスにおける反近代主義の系譜とコラボラトゥール』 - sekibang 1.0

    奇妙な廃墟―フランスにおける反近代主義の系譜とコラボラトゥール (ちくま学芸文庫)posted with amazlet on 07.12.24福田 和也 筑摩書房 (2002/08) 売り上げランキング: 33833 Amazon.co.jp で詳細を見る id:la-danseさんよりお借りした。「アドルノやデリダが共通して直面していた問題がなんなのかわかると思う」とのことだったのだが、その意図が直球で伝わりました。アドルノ的な問題圏のなかでを読み進めていたのですが、この著作のなかで取り上げられているフランスの反近代主義者が敵対する近代主義、あるいはその特徴でもあるヒューマニズムが孕んだ問題は、アドルノ-ホルクハイマーが繰り返し指摘した近代批判そして同一化批判と通ずる部分があるように思います――「人類はみな兄弟である」、「人類はみな平等である」というようなスローガンが、個人と個人、

    chaturanga
    chaturanga 2007/12/25
    福田和也も最初はこんなすごいものを書いていた。
  • ミゲル・デ・セルバンテス『ドン・キホーテ』(後篇3) - sekibang 1.0

    ドン・キホーテ〈後篇3〉 (岩波文庫)posted with amazlet on 07.12.16セルバンテス Miguel De Cervantes 牛島 信明 岩波書店 (2001/03) 売り上げランキング: 15633 Amazon.co.jp で詳細を見る ちょうど一ヶ月ぐらいかかって全6巻、読み終えました!「買ったは基的に全部読む(貧乏性)」であるので、後篇に入って飽きてきたときはどうしようかと思いましたが、意地で読みました。後篇に入ると「お、コイツが噂の狂人ドン・キホーテか!どれ、いっちょワスもからかってやるべか」という輩ばっかりでてきて、ドン・キホーテがまんまとそこにハマっていく、というのが展開がミニマルに繰り返されるので、結構キツいのかも……とか思います――この反復感はまるでテクノだ!(嘘) あとAC/DCもよく聴くと、テクノ(嘘)。無理を承知で話を進めると、『ドン

  • ミゲル・デ・セルバンテス『ドン・キホーテ』(後篇1) - sekibang 1.0

    ドン・キホーテ〈後篇1〉 (岩波文庫)posted with amazlet on 07.12.02セルバンテス Miguel De Cervantes 牛島信明 岩波書店 (2001/02) 売り上げランキング: 68188 Amazon.co.jp で詳細を見る ドン・キホーテが田舎に帰ってるあいだに、ドン・キホーテに関するが出版されて有名人になってしまったよ、という後篇。だからといってノリはあんまり変わらないので正直飽きてきました。サンチョ・パンサもドン・キホーテもなんか「イラッ!」と来るところあってキツい――喩えるなら、空気の読めないタイプの人間に両側から挟まれてるみたいな、そういう苛立ちを感じます。 全6冊中、4冊目まで全く教訓らしい教訓などが出てこないところは最高なのですが、ひとつ啓蒙的な点があるとしたら、ドン・キホーテのノリで話す人間は「ウザッ!」と煙たがられる、ということ

  • ミゲル・デ・セルバンテス『ドン・キホーテ』(前篇1) - sekibang 1.0

    ドン・キホーテ〈前篇1〉 (岩波文庫)posted with amazlet on 07.11.15セルバンテス Cervantes 牛島 信明 岩波書店 (2001/01) 売り上げランキング: 10968 Amazon.co.jp で詳細を見る 「世界三代ドン」のひとつに数え上げられるセルバンテスの小説『ドン・キホーテ』を読み始めました(残りのふたつは、ドン・ファン、それからドン・ドッケン!)。400年前の小説にここまで腸がねじれるほどの笑いを呼び起こされるとは……おかげで便秘が治りそうです。セルバンテスは「実はこれ、ワスが書いた小説じゃなくて大昔の歴史家であるシデ・ハメーテが記録したものを編纂したなんですよー」と所謂「メタ・フィクション」構造を持って小説を書いているんだけれども、「これからいよいよドン・キホーテの戦いが……」っていうところで大抵「ここから先の資料がないので残念だけど

  • ガブリエル・ガルシア=マルケス『エレンディラ』 - sekibang 1.0

    エレンディラ (ちくま文庫)posted with amazlet on 07.10.20ガブリエル ガルシア・マルケス 鼓直 木村栄一 G. ガルシア・マルケス 筑摩書房 (1988/12) 売り上げランキング: 12401 Amazon.co.jp で詳細を見る 作家には短編向きの人と長編向きの人がいて、そのどちらにおいても類まれな才能を持っているタイプの作家というのはそんなに多くない。パッと思いつくのはヘミングウェイぐらいだろうか――これまで、ガルシア=マルケスの作品を幾つか読んでいて、そんな風に考えていて「この作家は、長くないと良さがでないのかなぁ(ピンチョンみたいに)」と思っていた。『百年の孤独』が飛びぬけて面白く、短編集『青い犬の目』や『予告された殺人の記憶』などは面白いけどそこまで……という感じだった。しかし、この『エレンディラ』という短編集を読んでから印象はガラリと変わって