北海道に広く生息し、野山や丘や畑を駆けるキタキツネたち。その生き生きとした姿を、写真家の井上浩輝氏が撮影した。(この記事はナショナル ジオグラフィック日本版2017年5月号「写真は語る」に掲載されたものです) 北海道で、まず取り組んだのは風景写真だった。光や雲や風が自分の求める状態になる瞬間を、じっと待ち続ける日々。視界の隅を時折、何かが素早く駆け抜けていく。雪の上で軽やかにジャンプしたり、すっと優美に目の前に座ったり。そんな神出鬼没な生き物に、ふとカメラを向けてみた。僕がキタキツネを撮るようになったのは、そんなきっかけからだった。