日本のSF作家「小松左京」の公式サイトです。 (The official site of a SF writer of Japan "Sakyo Komatsu".) 「欠けていた「海」の視点」(『大震災`95』より) 一九九五年一月十七日の震災当日からほぼ六カ月の間に、中部方面隊を中核とする全国の陸上自衛隊の災害出動人員数は、延べ百六十四万人にのぼった。しかし、こういった大規模震災に対する救難救助については、中部方面隊はあまり出動要請経験がなく、 --第一、この地域では、自衛隊設立以来、「大震災」というものがなかったのである --それだけに圧倒的な「震災対策用装備不足」に悩まされた。倒壊家屋、ビルの下からの人命救助に必要な、チェーンソーやジャッキ、カッターさえ数えるほどしかなく、バールやつるはし、シャベルなどを使って、人海戦術で対処するしかなかったという。 それでも規律正しい集団の、屈強