「天衣粉上野初花」(くもにまごう うえののはつはな)というお芝居があります。 「弁天小僧」を書いたので有名な、江戸から明治にかけての天才作者、「河竹黙阿弥(かわたけ もくあみ)」の名作です。 これは、「河内山宗俊(こうちやま そうしゅん)」と「片岡直次郎(かたおか なおじろう)」 というふたりの主人公の筋が入り混じって作られた物語です。 本当はここに「金子市之丞(かねこ いちのじょう)」というお侍も絡んで三幅対の眺めなのですが、 今は「金子市(かねこいち)」の部分はばっさりです。 「河内山(こうちやま)」と「直侍(なおざむらい)」のパートも、別々に出されることが多くなりました。 「河内山」のパートは原題通りに「天衣粉上野初花(くもにまごう うえのの はつなは)」のタイトルで出されます。 「直侍」のパートだけ出すときの別称が、この「雪暮夜入谷畦道(ゆきのゆうべ いりやのあぜみち)」です。通称