ドウモイ酸は、アミノ酸ですが、特定環境で何故か水に溶けにくくなり血液脳関門(血液と脳脊髄液との間の物質交換を制限する機構)を突破しやすく変化します。つまり、消化器から吸収され血中に出ると、脳にまで届いてしまうのです。いったん脳に侵入すると、ドウモイ酸は脳内のイオンチャネル型グルタミン酸受容体に結合し、離れなくなります。 その結果、神経細胞が死に、海馬、視床、扁桃体細胞に壊死が起こります。海馬は特に人間の記憶に関わる根幹部分なので、その部分が死ぬということは本から目次とページ数が失われてしまうようなもので、情報の引き出しが困難になることを意味します。それで、極悪な記憶障害とあいなったわけです。 調査の結果、60mg以上で発症、115mg以上で記憶障害、300mg程度で致死量(人間)ということが分かりました。カナダで中毒を起こした貝は、貝の身100g当たり約30mg~150mgという高濃度のも