ラケタ(ロシア語でロケットの意)は、ソ連製の初の商業生産ハイドロフォイル、つまり水中翼船だ。冷戦時代に絶賛開発がすすめられたものの、他の機械的な巨船と同様、使われなくなった現在、錆びついて亡骸のような姿となり眠っている。
ラケタ(ロシア語でロケットの意)は、ソ連製の初の商業生産ハイドロフォイル、つまり水中翼船だ。冷戦時代に絶賛開発がすすめられたものの、他の機械的な巨船と同様、使われなくなった現在、錆びついて亡骸のような姿となり眠っている。
かわった手習(てなら)い 岡部(おかべ)一郎という少年があった。 彼は、今年十六歳であった。 彼の家は、あまりゆたかな生活をしていなかった。それで彼は、或(ある)電灯会社につとめて、もっぱら電灯などの故障の修理を、仕事としている。なかなか一生けんめいに働く一郎であった。 彼は、中学校へもあがれなかったが、技術は大好きであった。そのうち、電気工事人の試験をうけて、一人前の電気工になろうと思い会社の係長さんに、いつも勉強をみてもらっている。 ところが、その一郎が、近頃、なにに感じたものか、毎朝起きると机に向って墨(すみ)をする。 墨がすれると、こんどは、古い新聞紙を机の上にのべて、筆に、たっぷり墨の汁(しる)をふくませる。それから、筆を右手にもって、肘(ひじ)をうんと張り、新聞紙の面にぶっつける。 “未来の地下戦車長、岡部一郎” これだけで十二文字になる。 この十二文字を、彼は、古新聞の両面が
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