日本SF冬の時代論争 黒川[師団付撮影班]憲昭 平成九年二月九日発行の日本経済新聞読書欄に端を発し、SFマガジンをはじめネット上などで一時期かなり盛り上がりを見せた、日本SFは冬の時代であるかという論争(以降、冬論争と呼ぶ)は現時点(平成十年五月)において一部を除いてほぼ終息を迎えている。 当初、冬論争がもう少し長引くと想定して「SF論争用語の基礎知識(仮称)」という、これから論争に参加しようとする人のためのガイドマップを作ることを意図していた。だがそもそも「冬論争」自体、センセーションを起こすには足りるが、論題そのものとしては非常に粗雑であり、長期間の論議に耐えうるものでないことは、企画の段階でもう少し慎重に考えれば解ることだった。 さらに冬論争関連の資料を当たっていく過程で、SFマガジン98年2月号における大森望氏による柴野拓美氏へのインタビューが冬論争の丁寧な解題および総括になってい