町田康の「生の肯定」(2017年、毎日新聞出版)にこんな一節が登場するのですが、このなかで語られている「ゲルピン」という言葉は、いったい何のことなのでしょうか? 「俗に言う、ゲルピンだったのかな。と子供心に思った。いまの若い人にゲルピンなんて言ってもわからないかな、ゲルピンとは素寒貧(すかんぴん)のことである。 素寒貧もわからないかな。早く言えばオケラということである。今回は、懐かしの言葉「ゲルピン」について掘り下げます。もちろんこれは、お金に関係する言葉です。 ゲルピンとは「貧乏」のこと 困った時の広辞苑。さっそく広辞苑(第7版)を引いてみると、ちゃんと「ゲルピン」の項目がありました。語釈にはこうあります。 「金(かね)に窮していること。金がないこと」。つまりゲルピンとは「貧乏」を意味する言葉だったのです。 ここで疑問に思うのは「なぜゲルピンが貧乏を意味するのか」ということでしょう。これ