中高年の方なら、大動脈瘤(りゅう)や大動脈解離(かいり)といった病名を、一度は聞いたことがあるでしょう。家族や知人に、大動脈瘤が破裂して緊急手術を受けた方がいるかもしれません。 決して珍しい病気ではないのですが、どのような病気なのかはあまり知られていないのが現状です。「大動脈ってどこにあるの?」とか「原因は?」と改めて聞かれると、正確にいえる方は案外少ないのではないでしょうか。 大動脈とは、心臓から出て胸部、腹部にいたる、身体の中心を走る最も太い血管のことです。太さは胸部で直径約3cm、腹部でも約2cmもあります。 その太い血管で動脈硬化が進むと、血管内壁の弾力性が低下し、さまざまな異常が起こりやすくなります。もろくなった血管内壁に高血圧などの要因が加わり、血管がこぶのようにふくらんだ状態になるのが大動脈瘤。そして血管内壁の一部に亀裂が入り、剥離(血管壁が剥がれて、裂ける)を起こした状態が