アルスラーン王とギスカール公爵、というと田中芳樹の小説「アルスラーン戦記」でお馴染みの名前だが、ここで紹介するのはその元ネタと思われる歴史上の人物の話。セルジューク朝第二代君主(スルターン)アルプ・アルスラーン(生没年1029~72年、在位1064~72年)と、群雄割拠の南イタリア・シチリアを一代で統一し後のシチリア王国建国へと至る基盤を確立した初代プッリャ・カラブリア公ロベール・ギスカール(ロベルト・イル・グイスカルド、生没年1015~85年、在位1059~85年)である。ともに十一世紀、十字軍へと至るヨーロッパとイスラーム世界の対立の歴史の中で非常に重要な役割を担った。 アルプ・アルスラーン セルジューク朝を建国したトゥグリル・ベグの死後、後継者を巡ってトゥグリルの兄チャグリーの子アルプ・アルスラーンとトゥグリルの長兄アルスラーン・イスラーイールの子クタルミシュの争いとなり、1064年