終わって、玄関から、門まで見送る私に、大亀老師が言った一言がいまなお、私の耳に残っている。「あんた、松下さんは、偉い人やな。あんな偉い人はいない」。それ以降、大亀老師は、松下を誉めることはあっても、批判することはなかった。 批判者が応援者になる、松下流の人心掌握法 朝日新聞のK氏も、松下批判をする人であったが、松下が、声をかけて、同じように自分の問題点、欠点を教えてほしいと直接、話を求めた。この人も、帰るとき、私に「松下さんは、凄いね」。 ともかく、松下幸之助は、自分を批判する人を遠ざけるのではなく、むしろ、呼んで批判を大いにさせた。結果、批判者が応援者になった。これが松下流の人心掌握法かと感心した。批判者を遠ざけるのではなく、むしろ、直接、丁寧に批判を聞く。そして、その批判を聞き流すのではなく、しっかりと受け止め、納得のいくことは素直に、みずから改める努力をしていた。 松下は、私が経営者