お洒落なんて嫌いだった。 「女の子なんだからもっと見た目に気をつかえ」「お洒落しないともったいない」と散々言われ、言われると尚のこと頑なになっていた。 「何が女の子なんだから、だ。顔に粉を塗りたくって何が楽しいんだ。服なんて着られたらいいだろう。人間は中身が大事なんだ」 と言われるたびに言い返していた。 特にお洒落をしないで困ったこともないし、ブスブスと他人に言われるほどでもなかったし。今お洒落をしだして良かったことも特にない。 むしろ当時のわたしにとって、鏡を見ることが苦痛だった。 典型的な下半身デブで尻や胸も大きく、顔にはにきびがたくさんあって、鼻は毛穴が広がりが目立つし脂っぽい。 それらを見るたびにため息ばかりついていた。おしゃれそのものを放棄してしまったほうが楽だった。 胸が大きいとどうしても着る服が限られるし、どんな服を着ても野暮ったくなってしまう。雑誌のモデルはみな胸が小さいで