リオ2016の文化プログラムの主要なステークホルダーは、リオ2016組織委員会、ブラジル連邦政府、リオ州、リオ市の4者である。それぞれの文化プログラムの内容面での特徴については本稿の後段で整理するが、ステークホルダー間相互の連携はほとんど図られておらず、個別に関与していた点が全般的な特徴であった。これは、ロンドン2012の文化プログラムにおいて、組織委員会とロンドン市が人事面も含めて連携を図りつつ、同時に全国各地の実際のプログラムの現場に関してはアーツカウンシルが全面的に下支えをしていた構造とは大きく異なる。その背景としては、恒常的に文化芸術を支援する専門的組織としてのアーツカウンシルがブラジルにおいて存在していないという構造的な問題を指摘することができる。以下においては、ステークホルダーごとに、文化プログラムをどのように実施したのか(あるいは「しなかったのか」)について触れていきたい。
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