子供が親からの虐待で死亡する事件が相次ぐ中、虐待予防活動を約20年間続けてきた大阪府立母子保健総合医療センター企画調査部長の佐藤拓代医師(58)が「虐待のリスクが高い貧困家庭を出産前から援助し続けるべきだ」と訴えている。出産時の補助を申請する低所得世帯の母親を行政や病院が連携して支えていくことで虐待を未然に防げると指摘。21日、大阪弁護士会主催のシンポジウム「子どもの貧困と虐待」で提言する。 佐藤医師は小児科や産婦人科で臨床経験を積んだ後、昭和63年から保健所で勤務。経済的基盤が弱い家庭での乳幼児への虐待を見聞きする一方、こうした家庭を保健師が訪問して適切な子育てを指導することで、虐待を予防できるとの実感を深めた。 平成18年には、東大阪市保健所での支援事例67例について調査。経済基盤が不安定な家庭では、親が孤立していたり、精神的に不安定だったり、居住環境が定まらなかったりと別の虐待リスク