国内外の経済・物価環境が様変わりしているため、ドル/円相場の「135」という数字自体を24年前と比較しても実質的な意味はない。だが、1998年と言えば、前年から国内大手金融機関の破綻が相次ぎ、日本の金融危機が取りざたされ、文字通り「日本売り」がテーマだった。 昨年末の本欄への寄稿『2022年の視点:「悪い円安」の裏に低成長・日本の現実、脱却は可能か』で、筆者は2021年の円安が、過剰なコロナ対策などで成長率をおとしめたことにより生じた「日本回避」の結果だと論じた。その上で「この経験(失敗)から学ばずに同じことが繰り返されるのならば、2022年のテーマも『日本回避』になってしまう」と懸念した。もうコロナは忘れ、経済正常化にかじを切るべきだと提言した。 しかし、周知の通り、岸田文雄政権は参院選を前にしてあらゆる処方箋を棚上げすることを選んだ。原発再稼働は難しいとしても、せめてインバウンド全面解