諸葛孔明や元寇などがどうとらえられ、活用されているかは中国人の歴史感覚を知る大きなヒントだ[東京電力福島第一原発の処理水放出が始まった昨年秋、中国人民抗日戦争記念館前を中国国旗を手に歩く子どもたち=2023年9月3日、中国・北京](C)時事 今年9月18日、中国広東省深圳市で日本人学校に通う10歳の男児が男に刺されて命を落とす痛ましい事件があった。発生したこの日は満洲事変の記念日で、中国政府側の説明はなされていないものの中国国内の反日感情が関係していた可能性が高い。奇しくも同日に新著『中国ぎらいのための中国史』(PHP新書)を刊行した安田峰俊氏が、事件の背景と中国人の歴史観について解説する。 *** 現地に滞在する日本人には「常識」だが、日本国内の一般人はほぼ意識していない中国のタブーは多い。その最たる例が「日付」だ。かつて盧溝橋事件が起きた7月7日、満洲事変(柳条湖事件)が起きた9月18
