国の文化審議会は21日、国重要無形文化財に、越前和紙産地で伝承されている手漉き和紙の製作技術「越前鳥の子紙(とりのこし)」をはじめ全国の11件を指定するよう、松野博一文部科学相に答申した。政府が9月にも官報で告示し、決定する。 福井県内での国重要無形文化財は、2000年に重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された越前和紙「越前奉書」の9代目岩野市兵衛さん以来2件目。今回は、15年に設立された「越前生漉鳥の子紙保存会」(栁瀨晴夫会長)を保持団体とした。和紙関係の同一産地で複数が指定・認定されるのは全国初となる。 越前和紙は約1500年の歴史を誇り、鳥の子紙は雁皮というジンチョウゲ科の植物を原料とする。触り心地は滑らかで耐久性に優れ、虫害も少ないことから、経典や公文書用紙などとして愛用されてきた。 室町中期の文献によると、公家や僧侶の土産としても重宝されていた。江戸時代の百科事典「和漢三才図