式目はけっして完全なものではなく、補充・改正の必要がはじめから認識されていました。式目を補充・改正するべく出された法を、式目追加、あるいは追加法などと呼びます。『中世法制史料集』が掲載している鎌倉幕府の追加法は、トータル760ヶ条ほどです。 追加法は、たいていは、追加集と呼ぶ法令集のかたちで伝わっています。御成敗式目本体は、諸本間で字句の異同はありますが、51ヶ条と起請文という大枠はほぼ変わりません。ところが追加集は、短いものは20ヶ条(藤崎八幡神社本追加)、長いものは400ヶ条ほど(近衛家本追加)と、バリエーションがきわめて豊かであり、相互に追加法の出入りや異同があります。しかも、式目本体に付属するもの(藤崎本など。これが古態だと思います)や、いくつかの追加集を取りまぜて分類したもの(新編追加など)など、諸本間の関係も複雑です。 入り組んだ関係はいったん置いておいて、とにかく諸本にみえる