尾崎康先生の『正史宋元版の研究』(汲古書院、1989年)が、中国の正史について最も確かな版本学的研究であることは、いまさら言うまでもありませんが、この大業績が中国語に訳出されました。 正史宋元版之研究 (日) 尾崎康著 ; 喬秀岩, 王鏗編譯 中華書局 2018年 この中国語版、単なる日本語版の翻訳ではありません。本書を読むと分かる通り、尾崎先生は日本語版をお出しになった後も精力的に調査を続けられており、北京の国家図書館、北京大学図書館、上海図書館、復旦大学図書館などの蔵書をお調べになって、それぞれ成果をまとめていらっしゃいます。このたびの中国語版には、それらの成果が全面的に盛り込まれており、さらに充実した増訂版となっています。 本書は、橋本秀美氏のご尽力によって成ったものとの由、同氏「漢訳増訂版編後記」に記されております。この編輯自体も、それ自体たいへんなお仕事です。 汲古書院版をすでに
最近、このブログの記事「平凡社東洋文庫版『漢文研究法』」の中で、「みすず版の瑕疵を数十箇所ほど訂正することができたのは、小さな喜びでした」と書いたところ、それを見て「どこをどう変更したのか」と声をかけてくれた友人がありました。 一冊買ってくれればすむものを、とも思いましたが、みすず版に訂正を加えて長く愛用したいということかも知れません。そういう需要もわずかながらあるのでしょう。以下、メモしておきます。左がみすず版、右が東洋文庫版で、問題のある字に色をつけてあります。 ・p. 9「Qu‘ sais-je?」→p. 19「Que sais-je?」 ・p. 19「『千頃堂書目』百三十二卷」→p. 30 「『千頃堂書目』三十二巻」 ・p. 29「清邵懿振撰」→p. 41 「清邵懿辰撰」 ・p. 38「T‘oung P‘ao」→p. 51「T’oung Pao」 ・p. 45「祖孝徴名(斑)」→p
2018年7月15日(日)午前10時より午後3時45分まで、伊藤国際学術研究センター伊藤謝恩ホールにおいて、本学の学生・院生・教職員及び首都圏を中心とした大学や博物館・美術館・研究機関等に所属する教員・研究者・学生・院生等を対象に、「陽明文庫設立80周年記念特別研究集会―最新の研究成果の報告と陽明文庫の過去と未来―」が、公益財団法人陽明文庫(近衞忠煇理事長)と本学史料編纂所に研究拠点を置く科学研究費補助金(基盤研究(S))「天皇家・公家文庫収蔵史料の高度利用化と日本目録学の進展-知の体系の構造伝来の解明」(研究代表者 田島公史料編纂所教授)の「主催」により開催されました(「共催」は、史料編纂所、京都府立京都学・歴彩館、科学研究費補助金(基盤研究(A))「摂関家伝来史料群の研究資源化と伝統的公家文化の総合的研究」研究代表者 尾上陽介史料編纂所教授)。 この研究集会は、本年11月に設立80周年
前人未到の、そして誰もが期待したヒューゴー賞長編小説部門三連覇に、会場の盛り上がりは最高潮に達する。登壇したジェミシンは、スマホを片手に「ちょっと待って、友達からメールが来すぎてスピーチのメモが…」とおどけて見せ、会場を笑わせた。そんなお茶目な彼女だが、ここまでどのような道のりを経て、現代を代表するSF作家にのし上がったのだろうか。今回は、N・K・ジェミシンの実像に迫ろう。 大学時代の意外な専攻 N・K・ジェミシンは、1972年生まれのアフリカ系アメリカ人。アイオワ州で生まれ、ニューヨークとアラバマで育った。テュレーン大学では心理学を専攻しており、デビュー後も執筆業に勤しむ傍、キャリアカウンセラーとしての仕事をこなしている。なお、テュレーン大学は「隠れた名門大学」として知られており、オバマ大統領時代の米国公衆衛生局長官であったレジーナ・ベンジャミンや、第12代米国環境保護庁長官のリサ・P・
赤いやつら特集 カメラを持って歩いているときに、天候やレンズがノッてて、かつ気分がヨッシャ!と思った時には街中でぽつんと立ちながら見守ってくれている赤いやつらを撮っている。 だいぶ撮りためたのでいったん集めてアーカイブにしてみようと思ってこの記事を書いてる。 始めた…
【8月18日 東方新報】古書店として名高い北京の「中国書店」総経理の於華剛(Yu Huagang)氏はどうやって、日本の書店で「お宝」を発掘するのだろうか。 於氏は「中国書刊発行協会」古書業工作委員会の主任も務めている。同委員会は日本の業界団体とも古くから交流があった。 「ある年、日本の書店関係者が冬の北京を訪れた時、皆さんは薄着でした。私は彼らを衣料店に連れて行き、ダウンジャケットを買って差し上げました。こうした関係がありますので、毎年、日本の大きな書籍イベントに展示される書籍などのリストも手に入ります」 於氏は日本に行くと、観光もせずひたすら書店を巡る。 「札幌を訪れた際には、中国人留学生に車を運転してもらい、本屋を巡りました。この数年で北は北海道から南は北九州まで行きましたよ」 しかし日本語ができない於氏が、どうやって日本の書店関係者やコレクターとやり取りするのか。 於氏は日本で明版
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