この本は、英語学習者にとっての絶望の書でもあり、福音書でもある。それが、読んだ直後の僕の印象だ。 本書は、前置詞byを使いこなせるようになるための本ではない。前置詞byの用法を見ていくことで、一般的に言われている『前置詞をイメージで覚える』ことや、『前置詞に広く共通するイメージを持たせて覚える』ことに警鐘を鳴らしているように思う。それが、『多義論から多使用論へ』という副題が意味しているところだ。 ここで言われる多義論は、前置詞というものを多義的に扱うことについて触れている。例えばbyなら、『〜の傍に』や『〜によって』、『(数の差を示して)〜だけ』といったような意味を持つというように考えられるのが一般的で、辞書にもそのように書かれているが、実際にはこのような多義語としての考え方ではカバーできない用法がたくさんあるというのが本書の趣旨だ。 仮にbyが、『〜の傍に』や『〜によって』といった多義的
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