年末に入っても書くべき原稿の数は一向に減らず、というか、増えてんじゃん!何の因果か学者をやってはいるものの、作家に転向した気はないのだが。 それはさておき、書きたいことが溜まったので、ざくっとコメント。 一つ。今年の10大ニュースというのをいろいろなところで訊かれる。コンテンツ分野だと、やれニコ動だとか、情報通信法構想だとかいろいろあって、それはそれぞれのところで見てもらえばいいのだが、タイミングの関係でかそれには永久に入らないだろうからここで書いておきたいことがある。コミックガンボの挑戦と敗退である。 コミックガンボは、国内初*1の無料週刊マンガ誌。僕もうなったのは、まずクオリティ。連載陣に江川達也などきちんとした人をそろえているし、僕の知らない名前の人でも中身としては納得できるものが多かった。次に、グラビア。クオリティはともかく、グラビアをきちんと入れていること自体に驚いていた。旧作を
日経新聞によれば、総務省は地デジの番組を受信して無制限にコピーできるようにする受信機Friioを規制する方向で検討するそうだ。 しかし現在のコピーワンスはARIBという民間団体が勝手に決めた規格にすぎず、そのコピープロテクトを破ることは違法ではない(*)。またFriioはB-CASを挿入して使う機材なので、通常の地デジ受信機と変わらない。B-CASカードは他のテレビのものを使ってもよいし、オークションで買ってもよい。このカードはB-CAS社が1台ずつ「認証」することになっているが、これには何の法的根拠もない。 そもそも、このように民間企業が法にもとづかないで放送の受信や私的複製を制限するB-CASやコピーワンスは、独禁法や著作権法に違反する疑いがある(FAQ参照)。むしろFriioこそ、自由に放送を受信・複製できるようにすることによって、こうした違法の疑いのある行為を是正するものだ。
著作権法は著作者保護を目的とする法律ではありません。目的は「文化の発展」であり(著作権法1条)、その目的を達するために第5款で、著作権の効力の制限が記載されています。 30条:私的使用のための複製 31条:図書館等における複製 32条:引用 33条:教科書図書等への複製 33条の2:教科用拡大図書等の作成のための複製 34条:学校教育番組の放送等 35条:学校その他の教育機関における複製等 36条:試験問題としての複製等 37条:点字による複製等 37条の2:聴覚障害者のための自動公衆送信 38条:営利を目的としない上演等 39条:時事問題に関する論説の転載等 40条:政治上の演説等の利用 41条:時事の事件の報道のための利用 42条:裁判手続等における複製 42条の2:行政機関情報公開法等による開示のための利用 43条:翻訳、翻案による利用 44条:放送事業者等による一時的固定 45条:
現状のまとめ 私的録音録画小委員会:「ダウンロード違法化」不可避に - ITmedia NEWS 「著作者に無許諾で動画や音楽をアップロードしたサイト(以下「違法サイト」からのダウンロード(※注:「ニコニコ動画」「YouTube」などでのストリーミング視聴は含まない)」を、著作権法30条で認められた「私的使用」の範囲から外し、「違法サイトと知ってダウンロードした場合は違法とする」という方向性がまとまった。 基本的に,このダウンロード違法化の問題は下記のエントリを読めば,権利者側が違法化を進める理由と主な違法化反対意見をまとめてあるので理解が早い.適当に重要そうなところを抜く 私的録音録画小委員会:反対意見多数でも「ダウンロード違法化」のなぜ (1/2) - ITmedia NEWS ネット上では「権利者の立場を保護しすぎで、ユーザーの権利や利便性を損ねる。違法化は行きすぎだ」という意見が「
某中学の2006年度の問題を受験指導で使おうとしたら、第2問が本文省略だった。別役実氏の評論文である。2006年度の問題ということは、2006年1月に出題された問題であり、この年、別役実氏は「日本ビジュアル著作権協会」の活動に賛同し、四谷大塚や日能研を訴えていることで知られている。2006年に実施された共通テストでも別役氏の評論文を使い、その結果赤本などでは第一問の評論の本文が削除される、という事態が起こっている。 少し前に著作権の問題でテキスト*1が大幅に差し替えられる、ということがあった。教材会社が年度途中で慌てて差し替えたのだ。これは受験業界の著作権問題に対する鈍感さを象徴するものではある*2が、今までのテキストを廃棄して新たなテキストを作り直した方がましなくらい、削除された作家の著作権料が高い、ということでもあるのだろう。新たに採用された作家にも当然著作権料は支払われているはずだか
大学入試センターの情報提供事業のあり方について考えている。独立行政法人大学入試センター法では同センターの業務を以下のように定めている。 大学に入学を志願する者の高等学校の段階における基礎的な学習の達成の程度を判定することを主たる目的として大学が共同して実施することとする試験に関し、問題の作成及び採点その他一括して処理することが適当な業務を行うこと。 大学の入学者の選抜方法の改善に関する調査及び研究を行うこと。 大学に入学を志望する者の進路選択に資するための大学に関する情報の提供を行うこと。 この3番目に情報提供として、大学入試センターが提供しているのが「大学進学案内(ハートシステム)」である。 ・大学進学案内(ハートシステム) http://www.heart.dnc.ac.jp/ 受験情報を中心に各大学の基本情報を網羅しており、その点では民間企業による大学情報に引けをとらない。しかし、こ
最近図書館系ブログで図書館の有料化の話が盛り上がってるようですが、風邪っぴきやら別館の更新やらで出遅れて、今頃になりちょっとずつ他の方の記事を読んで消化しているところです。 大体何かあると図書館が無駄遣いとか何とか言われてフルボッコにされるのが気に入らないのですけれどね(この辺かなり私情が入る)。図書館を有料化するとかそういう話の遠因もそこら辺にあると思うので。 20年近く昔の図書館情報学教育を受けた人間なもので、個人的には以下のご意見に最も賛同したいところ。 Tohru’s diary - 有料化、有料化というけれど 公共図書館が無料というのは、基本は税金で運営されるのだから当然だと思うし、そもそも儲けが出ることが想定されていない事業なんだからふざけるな、資料費ぐらい出してくれよけち、って思いますが、その理論が最近の行政の中では通じなくなっているから、図書館を運営管理する立場の人が困って
・「図書館法 改正」(丸山高弘の日々是電網 The First.、2007-12-17) http://maru3.exblog.jp/6570792/ を読んだときに書こうと思ったのだが、その後の盛り上がりをみてつい後回しになってしまっていた。その後の議論の盛り上がりについては、自分も細かく追ってないのだが、 ・「図書館は有料化すべきか論+日本では公共図書館の意義はあるのか論。現在のまとめ」(図書館情報学を学ぶ、2007-12-20) http://d.hatena.ne.jp/kunimiya/20071220/p1 に詳しくまとめられているようだ。 さて、一回、「図書館法改正」というテーマでワークショップをしてみたい。図書館を論じる場合、シンポジウムやパネルディスカッションをするよりも、実は聴衆も含めて、図書館法の改正案をまとめてみるといいのではないか。1日がかりになるだろうが、半日
既にダウンロード違法化が決定したかのような論調も見かけるが、今のところ、単に文化庁が法改正の方針を示しただけであり、この問題は何一つ終わっていない。 MIAUも緊急シンポジウムを開くという告知をしているし、弁護士の小倉先生などもさらに運動されると表明している。(小倉先生、勝手なトラックバック失礼いたします。ご迷惑でしたら、トラックバックをお切り下さい。) 今回は、ダウンロード違法化に反対する全ての人に対する個人的な応援として、私なりにダウンロード違法化問題についての概要をまとめた資料(何せ大したコネもない無名の私には使い道のない資料である。)を、ここに載せておきたいと思う。(あまり視覚的にできなかったことはあらかじめお詫びしておく。pptでもpdfでもjpgでも内容は同じである。) この程度の資料で大した著作権が発生するとも思っていないが、この資料に関する著作権は完全にフリーとするので、自
ダウンロード違法化パブコメ、詳細結果はインターネット公示されていない模様(詳細が公示されたので書き換え) (本件、電子政府の総合窓口にも、詳細が公示されました。一部書き換えの上、文末にてリンクを設けます。2008年1月24日) (2007年12月30日追記:状況が変わった様です。12月30日の拙稿もご覧いただけますならば幸いです) 2007年12月20日午後、文部科学省の電話番号に電話し、文化庁のご担当の方とお話しして得た感触を書きます。 文部科学省のホームページで結果公示されている様に見える、ダウンロード違法化関連の意見募集の結果は、ご担当の方のご解釈では、「概要版」である模様です。 他の場所では、意見の件数や、反対意見の割合が書かれたものも拝見したので、何らかの形で、不特定多数が閲覧可能な状態なのかもしれませんが、少なくとも、私は、現在、入手しておりません。電話でも、まだ公示していない
映画・テレビ業界との三年ごとの契約更新交渉がまとまらず、十一月五日に始まった米脚本家組合(組合員一万五百人)のストは、一カ月半を超え、二十四日に八週目に入りました。スト入り後の二度の交渉も決裂。交渉再開の見通しはなく、「解決は早くても三月下旬までもつれ込むのではないかと言われている」(米芸能界紙バラエティー)と報じられ、越年は必至の状況です。(居波保夫) ネット・携帯電話配信の著作権料 明確化もとめる 契約期限が切れる十月末までに解決しなかった主な課題は、映画・テレビで使用された作品が再使用される場合の報酬(著作権料)でした。組合側は▽DVD一枚につき現行の四セント(約四・五円)を二倍に引き上げる▽インターネットや携帯電話に配信される際の報酬規定を明確にする―ことを要求しました。 スト回避のため、十一月四日深夜まで続けられたぎりぎりの交渉で、組合側はDVDに関する要求を取り下げて、ネット配
「本書を読破した者は、必ず一度は精神に異常を来たす、と称される」などとWikipediaで紹介されている、夢野久作の小説「ドグラ・マグラ」が本日12月24日から青空文庫で無料公開されます。作品は構想・執筆に10年がかけられており、夢野久作の死の1年前に刊行されました。ジャンルとしては探偵小説に分類されるそうで、刊行時は「幻魔怪奇探偵小説」と呼ばれていたようです。 詳細は以下から。 図書カード:ドグラ・マグラ ルビありのテキストファイルでのダウンロードと、XHTMLファイルでの閲覧ができます。 ドグラ・マグラは他に例を見ないような特異な作品で、「黒死館殺人事件」、「虚無への供物」とともに日本探偵小説三大奇書とされています。機会があれば一度読んでみてはどうでしょうか。
今年も青空文庫の誕生日である7月7日がやってきました。 今日までその活動を27年間地道に続けて来られたのは、実作業で支えてくださった多くのボランティアのみなさんと、収録された作品をさまざまに楽しみ、その可能性を広げてきてくださったユーザのみなさんのおかげです。 あらためて御礼申し上げます。ありがとうございます。 さて、2023年1月1日から継続して進めて参りました「式年遷宮」ですが、ようやく新規データベースサーバの引っ越しの目処がつきました。 元旦でお知らせしていた本日7月7日からの本運用には間に合いませんでしたが、この8月から実データを構築中の新データベースに移し、そして運用を試験して大きな問題がなければ、この秋には引っ越しを完遂したいと考えています。 (もちろん試用しながら都度バグフィックスを行う必要が生じますので、夏のあいだにタイミングを慎重に見極めなければなりません) ともあれ、お
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