半導体集積回路(IC)の複写技術を発明した日立製作所(東京都千代田区)の元社員、岡本好彦さん(60)が「正当な対価が支払われていない」として同社に3億5000万円の支払いを求めた訴訟の控訴審判決で、知財高裁(滝沢孝臣裁判長)は21日、約6300万円の支払いを命じた1審・東京地裁判決(10年6月)を変更し、約290万円の支払いを命じた。 岡本さんは日立在籍中の88年5月、IC複写技術を発明。日立は同年11月以降、日米韓で特許を出願し登録された。 1審判決は、日立が他企業とライセンス契約を結ぶ際、IC複写技術を交渉材料にしたと認定して対価を算定した。知財高裁も同様の方法で算定したが、交渉材料に用いたと認定した契約が1審より大幅に減ったため、支払いが減額された。【野口由紀】 日立製作所の話 今後の対応については判決の内容を精査して検討する。