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ブックマーク / blog.a-utada.com (50)

  • まぼろしの有料配信: 歌田明弘の『地球村の事件簿』

    歌田明弘の『地球村の事件簿』 週刊アスキー連載「仮想報道」などの原稿のアーカイヴやリンクが中心です(詳しくは「プロフィール」参照)。編集部との話し合いで、週刊アスキーの原稿は発売後、次の金曜日以降に公開することになっています。つまり、実際に書いたのは公開日の2週間ほど前です。 「国会図書館による有料配信決定の記事は誤報のよう」と書きましたが、国会図書館に続いて、日書籍出版協会(書協)(リンク先PDF)も否定しました。 なぜこういう記事が出たのか不思議ですね。 この「誤報」によって、はたして、有料配信が前進するのか、それともまったく逆に後退するのか、どちらでしょうね。 足を引っ張るつもりでこうした情報を流した人がいるのだとしたら、許し難いですが。 とはいえ、ふたつの組織が否定してもそれを知る人は限られているでしょうから、もはや世間的には、2011年春に有料配信開始ということになってしまいま

  • グーグルの次の手は無料のネット接続?: 歌田明弘の『地球村の事件簿』

    先ごろグーグルが発表した無償のOSはネットが前提で、 コンピューターはからっぽのほうがいいという発想だが、 次にグーグルがやるのはネット接続を安くすることだろう。 ●コンピューターは「ただの箱」のほうがいい 「コンピューター、ソフトがなければただの箱」という有名な言葉がある。誰が言ったのか知らないが、コンピューターはソフトがなければ役に立たない。また、とてつもないスピードで情報を処理する一方で、うまく動かなくなって難儀も振りまく。このフレーズは、コンピューターを小馬鹿にしているようでもあって、一回聴いただけで記憶に残った。 コンピューターはこのようにソフトを入れておく必要があると思われてきたわけだが、7月7日に発表されたグーグルのOSは、コンピューターはいまよりもっと「ただの箱」にしたほうがいいという考えにもとづいている。グーグルは、公式ブログでこう言っている。 「多くの方がコンピューター

  • 国会図書館による有料配信決定の記事は誤報のよう: 歌田明弘の『地球村の事件簿』

    歌田明弘の『地球村の事件簿』 週刊アスキー連載「仮想報道」などの原稿のアーカイヴやリンクが中心です(詳しくは「プロフィール」参照)。編集部との話し合いで、週刊アスキーの原稿は発売後、次の金曜日以降に公開することになっています。つまり、実際に書いたのは公開日の2週間ほど前です。 昨日の日経のスクープ「国会図書館、有料ネット配信 400万冊対象、11年にも」は誤報のようだ。 関係者が否定しており、ほかの新聞も(この記事にあるほど確定しているのであれば容易に確認できることなのに)まったく追随して報じていない。 個人的にも、これがほんとうなら、つい最近聞いたいろいろな話が、知っていて知らないそぶりで話されていたことになり、人間不信になりそう。(冗談ですが) ただ、権利者側を代表して著作物の利用にブレーキをかけてきた文芸家協会の三田誠広氏が、日版の版権レジストリ(著作権者が出版物をどうあつかう

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    copyright 2009/08/08
    私もほぼ同じ観測。三田氏はこんなこと言っているんだよね。 http://shiraist.tumblr.com/post/157124842/07-27
  • 一部有料化のお知らせ: 歌田明弘の『地球村の事件簿』

    今月からブログを一部有料化しました(月額課金で税別280円。しょっちゅう行っているコーヒーショップのコーヒー一杯の値段にしました)。 「有料化した」とあるもの以外は、ふつうに読めます。 なぜ有料化するのかについては、このところのエントリ、とくに「ブログを有料化するその理由」で書いた。このブログはこれまで雑誌原稿のアーカイヴとして使ってきた。いろいろな直接的反応があり、ただ雑誌に載せているより、よくも悪くも緊張感があった。その点はよかったのだが、雑誌に載せた原稿をふつうのブログとして公開するのは具合が悪いところもあった。 「ブログを有料化するその理由」で書いた以外にも、そうしたことは思った。原稿を書き雑誌に載ってそれからしばらく経って公開すると、当然ながらかなりのタイムラグができる。ブログというのはインタラクティヴなものだが、公開したときには、私の関心はたいてい次のテーマに向かっている。その

  • 有料ブログはウェブにとって善か悪か?: 歌田明弘の『地球村の事件簿』

    リンクをクリックしてアクセスしたら有料のブログだった。 そんなことになったらイヤだなと思うだろうが、 そうしたブログの誕生にも、少しばかりの理はあるように思う。 ●ブログのレベルは上がっているのか下がっているのか 日のブログの水準は上がっているのか下がっているのか。 「ブログがどんどんつまらなくなっている」といったことを書いて、炎上まがいの 騒ぎになったブログがあった。自分たちは楽しんでやっているのに「つまらなくなった」などと言われれば、熱心にブログを書いている人たちは不愉快だろう し、実際のところ、膨大な数にのぼるブログのレベルが全体として上がっているのか下がっているのかは誰にもわからないだろう。 ただ、しばらくぶりにアクセスしてみるとつまらなくなったと感じる有名ブログはよくある。 有名になりすぎて、以前のように好き勝手なことを書けなくなってしまったと思われるブログもあるし、有名になり

  • ウェブで成り立つ課金メディア: 歌田明弘の『地球村の事件簿』

    「ウェブの情報はタダ」とみんなが思うようになり、 ネットでは課金サービスが成り立たないと信じられている。 しかし、かならずしもそうではないのかもしれない。 ●いかがわしいネット・ビジネスが秘めている可能性 新聞が衰退し、「焼け野原」状態になったニュースメディアからどのような新しい芽が出てくるのか。ここ何回かそうしたことを書いてきたが、ひそかに流行しているあるネットビジネスが近未来のニュースメディアのひな型になりうることに気がついた。 それは「情報商材」だ。 情報商材というのは、「こうすれば儲かります」といった謳い文句で、儲けるためのマニュアルなどを売る情報ビジネスだ。 こうした情報商材の宣伝・販売をしているサイトやメルマガはかなりの数にのぼる。「情報商材って何それ?」と思った人も、言われてみると、そんなのを見た記憶があるのではないか。 「あんなものが近未来のニュースメディアのひな型か」と思

  • リンク機能が生んだニュースメディアの危機: 歌田明弘の『地球村の事件簿』

    ウェブのリンクは、この時代の最大の発明のひとつだが、 この機能がそもそもニュースメディアの生き残りをむずかしくしているのかもしれない。 ●ネットへの移行準備が進む新聞 我が身にやって来なくても、失業や倒産のニュースには気が重くなる。海の向こうの話であってもそうだ。 アメリカではいまや大量の記者がクビになって路頭に迷っている。 3月12日のニューヨークタイムズによれば、アメリカで数少ない全国紙USAトゥデイなどを出している全米最大の新聞発行会社ガネットは、07年と08年の2年間で全体の22パーセントにあたる8300人のクビ切りをしたという。90年代に記者がもっとも多い新聞社のひとつだったロサンジェルスタイムズも1200人の記者を半分にした。ワシントンポストは、6年前に900人以上いた記者を700人以下にした。マイアミ・ヘラルドはすでに減らしている人数からさらに19パーセント減らした。サンフラ

  • 「新聞の終焉」が見えてきた: 歌田明弘の『地球村の事件簿』

    印刷版の新聞がなくなり、ネット版だけになるのは時代の必然とも言えるが、 実際にそれはどう進むのか。 アメリカで、そうした移行のプロセスが見えてきた。 ●新聞と週刊誌の最終戦争? 朝日新聞と週刊新潮の戦いが緊迫している。週刊新潮が、朝日新聞阪神支局襲撃犯の犯人と称する人物の告白手記を載せたのに対し、朝日は、裏付けのない手記を載せたと批判し、訂正と謝罪を求めた。告白した人間が実行犯でないことを認めてしまい、週刊新潮は4月23日号でだまされたと謝罪したが、「だまされたですむことではない」と朝日は追及の手をゆるめていない。 朝日新聞と総合週刊誌は、ずっと奇妙な関係を続けてきた。 「朝日たたきは売れるコンテンツ」ということか、朝日批判記事がしばしば書かれ、当の朝日にもその記事を大見出しにした週刊誌広告がたびたび載った。広告の内容にやたらに介入するのは言論の自由の点からも問題で、気に入らない広告だから

  • ニュース記事を有料に戻す方法: 歌田明弘の『地球村の事件簿』

    「新聞の危機」を超えてもはや「ニュースの危機」だとまで言われ始めたアメリカの大新聞で、有料化実現のために「談合を認めろ」という声まで上がっている‥‥ ●未来の喪失 経済危機によって、「この半年ほどのあいだにまったく別の世界になってしまった」と思っている人は現在、世界中に数多くいるだろうが、ニューヨークタイムズの幹部もまたそう思っているにちがいない。 少なくとも昨年前半までは、アメリカの大手新聞や雑誌はネットの広告収入に自分たちの未来を託そうと、無料で読める記事を大幅に増やす方向に向かっていた。この欄でも紹介したように、ニューヨークタイムズは2007年9月に有料課金を基的にやめ、過去の記事についても1851年から1922年までと87年以降は無料でアクセスできるようにした。タイムやニューズウィーク、スポーツ・イラストレイテッド、ポピュラー・メカニクスなどの雑誌も何十年分もの記事に無料でアクセ

  • 「ネットは無料」の潮目が変わろうとしている?: 歌田明弘の『地球村の事件簿』

    ネットのニュース記事を有料化しようという動きがアメリカで出始めた。 新聞をめぐる状況がここまで危機的になれば、 そうした動きが出てくるのも当然か。 ●ウェブだけでほんとうにやっていける? 前回、「フリー」というを出版しようとしている米ワイアード誌編集長クリス・アンダーソンの「95パーセント無料、5パーセント有料で黒字転換がウェブ2・0企業では望ましい」という説を紹介した。ニコニコ動画の決算を見たらそんなふうな数字になっていて、何やら説得力があった。 しかし、これはあくまでも「ウェブ2・0企業」、つまりコンテンツを作らず、投稿によって成り立っている場合だろう。コンテンツを作るメディア企業の場合には、これですむのかどうか。 すんでいるのかどうかはともかく、米ウォールストリートジャーナル紙も「5パーセント有料」に近い数字になってきたようだ。同紙は、無料で読める記事を大幅に増やしたものの、いまも

  • 「何でも無料」時代のネットのビジネスモデル: 歌田明弘の『地球村の事件簿』

    「95パーセント無料、5パーセント有料で黒字転換する」というのが、 ウェブ2・0時代のネットでは望ましいと 「ロングテール」の著者がブログで書いている。 ●オープンソース・プロジェクトがときに独裁的な理由 「ロングテール」という言葉を流行らせた米ワイアード誌の編集長クリス・アンダーソンが今年夏前に出す新刊を前回とりあげたが、彼のブログもおもしろい。3月12日には、オープンソースとソーシャルメディアは、会社と国のような違いがあると書いている。 会社には利益追求などの目的がある。経営者の強いリーダーシップのもと、ときに独裁的に経営したほうがうまくいく。一方、国は国民の役に立つことが第一だから民主的な運営が合っている。 ブログのようなソーシャルメディアも特定の目的があるわけではない。人びとの役に立つのが目的だから民主的な運営がふさわしい。一方、オープンソースのプロジェクトといえば、リナックスやウ

  • グーグルの黒船がやってきて、日本語の壁が壊れ始めた: 歌田明弘の『地球村の事件簿』

    語のが言葉の壁に守られ、グローバリズムの嵐とは無縁だった時代は過ぎ去ろうとしている。 グーグルという黒船がやってきて大砲をぶっ放した‥‥ ●突然出されたグーグルの「公告」 2月24日に、グーグルが新聞に公告を出した。かなり大きなスペースだったが、文字ばかりで、気がつかなかった人もいるだろう。冒頭に「法廷通知」とあって次のように書かれている。 「米国外にお住まいの方へ:和解は米国外で出版された書籍の米国著作権の権利も包含しているため、貴殿にも影響することがあります。書籍または書籍中のその他の資料等の権利を有している場合には、適時に除外を行なわないかぎり、和解に拘束されることになります。」 日の新聞に載せておいて「米国外にお住まいの方へ」というのはいかにも空々(そらぞら)しいが、米国外で同じ文章を一律翻訳して出したのだろう。日がグローバルな世界に呑みこまれようとしていることを

  • グーグルの新たなビジネス――グーグルは「広告会社」を脱皮する?: 歌田明弘の『地球村の事件簿』

    グーグルは、の電子データ閲覧ビジネスに乗り出そうとしている。 こうした分野は、現在は注目度が低いが、 いずれかなりの規模の市場になるかもしれない。 ●グーグルによって生まれる新たな電子データ市場 グーグルが、アメリカで膨大な絶版データの有料閲覧サービスを始めるつもりだと前回書 いた。大図書館の蔵書をごっそり電子化し始めたグーグルに対し、米出版社協会などが著作権侵害だと訴えた訴訟の和解案で、そうしたことを明らかにしている。500万冊ほどの絶版がすでに電子化されているとのことなので、6月に開かれる最終審理を経て和解案が裁判所に認められれば、アメリカでは、グーグ ルのブック検索で続けて5ページまでは無料で表示され、それ以上は有料で閲覧できるようになる。 この取り決めの最大の問題点は、あまりにもよくできていることだ。争っている両者が譲り合い、たんに妥協点を見つけたというにとどまらず、テキスト

  • グーグルと米出版社協会、結局勝ったのはどちら?: 歌田明弘の『地球村の事件簿』

    ブック検索をめぐるグーグルと米出版社協会などとの裁判の和解案がまとまった。 裁判所に認められれば、アメリカで膨大な絶版の電子データ市場が立ち上がる。 ●今年のグーグルは何をやる? ネットを通して人類の知的遺産にアクセスできるようにするグーグルの試みはどんどん加速している。 グーグルは06年9月にニューヨークタイムズやワシントンポストと提携し、ニュース検索で、200年以上前の記事まで遡れるようにした。昨年9月からはさらに多くの新聞社と提携し、写真やイラスト、広告なども含め新聞レイアウトのまま検索・表示できるようになった。また先月からは、数多くの雑誌のバックナンバーもブック検索の対象になって表示される。 こうしたことができるのは、グーグルが膨大なドキュメントを高速で効率よく電子化する技術を持っているからだ。 300ページの一冊を電子化するには通常40分の時間が必要で、1ページあたり10セン

  • 歌田明弘の『地球村の事件簿』: 新聞収入はネット版に完全移行すると現状では1/10以下

    ネット利用者は、メディアがネットに移行するのは当然すぎる話と思うが、 メディアは、みずからの「死」を受け入れながらでしか進行しないのかもしれない。 ●ネット版に移行すればするほど苦しくなっていく新聞 新聞が、ネットに進出して何が起こっているか。数号前にとりあげた『グーグルとウィキペディアとYouTubeに未来はあるのか?』というは興味深い数字を載せていた。 ニューヨークタイムズ紙の印刷版の有料購読者数は平日版が110万人、日曜版が170万人なのに対し、無料オンライン版の利用者は月4000万人いるそう だ。しかし、印刷版の年間収入が15億ドルから17億ドルあるのに、オンライン版は2億ドルしかないという。オンライン版の収入が少ないことは容易に想像 できるが、具体的な数字を目にすると、いろいろなことを考えさせられる。 アメリカでは日曜版だけ、あるいは平日版だけの定期購読者もいる。平日版を30倍

  • 検索データベースに組みこまれた我々の個人情報のゆくえ : 歌田明弘の『地球村の事件簿』

    ウェブでなぜプライバシーが脅かされやすいかといえば、 それはウェブがデータベースであるからだ。 ウェブは、生活の場にもなってきたが、 その質は変わりようがない。 ●みんながみんなのことを書けばプライバシーはない ウェブは、SNSやブログで情報をやりとりして泣いたり笑ったり友だちを作ったりと生活の場そのものになってきた。だから、冷たいデータ ベースという感じはしない。しかし、その質がデータベースであることに変わりはない。情報を作り発信するというのは、ウェブというデータベースのデータ を作っていることにほかならない。 こうしたウェブのありようは、当然ながら、プライバシーの問題にも大きな影響をおよぼす。 前々回、 「obama」と検索すると、アメリカ大統領候補のオバマについて、略歴から雇った人間の名前、あるいはオバマについて誰がこう言ったということまで情報 を集めて一覧表示してくれる検索を紹

  • 答えそのものを表示してくれる次世代検索: 歌田明弘の『地球村の事件簿』

    歌田明弘の『地球村の事件簿』 週刊アスキー連載「仮想報道」などの原稿のアーカイヴやリンクが中心です(詳しくは「プロフィール」参照)。編集部との話し合いで、週刊アスキーの原稿は発売後、次の金曜日以降に公開することになっています。つまり、実際に書いたのは公開日の2週間ほど前です。 ●「今回の総裁選の候補者、福田康夫さんですね」 グーグルの検索は、人気ランキング順に表示されるので、注目度の高いウェブページはますます注目される。それがはたしていいことなのかと前に書い たが、たくさんのウェブサイトの一覧を表示するためには、何らかの順番をつけるしかない。ほかに方法がないのでは、と思うかもしれない。 しかし、そんなことはない。 それは探している情報そのものをズバリ表示してしまうことだ。 たとえば、「家から2時間以内の紅葉がきれいな温泉に泊まりたい」と検索すれば、候補地や交通手段、宿泊場所、最適な時期など

  • グーグルのすごさとその限界が見えてきた: 歌田明弘の『地球村の事件簿』

    歌田明弘の『地球村の事件簿』 週刊アスキー連載「仮想報道」などの原稿のアーカイヴやリンクが中心です(詳しくは「プロフィール」参照)。編集部との話し合いで、週刊アスキーの原稿は発売後、次の金曜日以降に公開することになっています。つまり、実際に書いたのは公開日の2週間ほど前です。 ●MSやアマゾンが先んじていた「ストリートビュー」 歩行者視点の街の風景を見ることができるグーグルの始めた「ストリートビュー」は、あまりにリアルに街の様子が見えてしまい、波紋を呼び、「問題シーン」だけを集めたまとめサイトまでできた。 こうしたプライバシーの問題はともかく、これを見ると、グーグルの底力を見せつけられる思いがする。「ポスト・グーグル」とか「グーグルを超える」みたいなことが言われるが、実際のところグーグルはそんなに簡単に超えられず、「グーグル王朝」の時代はまだまだ続くのかもしれない。 このような「ストリート

  • 不謹慎なネットでの情報発信か、それとも一歩前進か?: 歌田明弘の『地球村の事件簿』

    事件現場で厚かましいふるまいをしているという非難は、 マスメディアだけに向けられるものではなくなってきた。 秋葉原の殺傷事件ではまさにそうしたことが起こった。 ●「誰もがジャーナリスト」の時代はほんとうに来た? 時と場合にはよるものの、ことさら取材して原稿を書くというのはどうもあまり好きではない。なぜ自分だけが特別に時間をとってもらって取材対象者に話しをしてもらえるのか、いまひとつ納得がいかないのだ。 大新聞社の記者ならばともかく、そうでもない私は、「国民の知る権利を代表して取材している」などと錯覚するはずもないし(まあ大新聞社の記者だって、そんなことを思っていちいち取材の申し込みをしている人は少ないだろうが)、時間を割いてもらった時点で、一定の心理的負担を感じることもなくはない。だから、原稿を書く対象者とできるだけ距離をとり、公開されている文書や、誰でも参加できる公開の場などで得られる情

  • 秋葉原殺傷事件についての意外な反応: 歌田明弘の『地球村の事件簿』

    みんなが情報発信者になるのは、きわめて望ましいことのはずだった。 しかし、秋葉原の無差別殺傷事件では、非難を招く事態が起きている‥‥ ●事件の野次馬がことのほか不謹慎に見える理由 ネットに犯人の痕跡が残された事件を何度か取り上げてきたが、その結果、何かがわかったかというと、そうでないことのほうが多い。犯人の以前の行動と一貫性があって事件が起きたというぐあいに見えないからだ。 秋葉原の事件については、非正規雇用の不安定さが背景にあったと言われる。実際、犯人がもし正規雇用だったら事件を起こしていない可能性は高いだろう。ただ、いうまでもなく、同じ環境の人間がみな犯罪を犯すわけではないし、そもそもまとめサイトなどに載っている犯人とおぼしき人間が携帯サイトに残したかなりの量の書きこみを読むと、ルックスの良くない自分に彼女がいない不満が延々と書きつづられている。 こうした感情は、若い男性にはありふれた