俺たち兄弟は、延々と「デキのいい兄貴に比べて弟は・・・」と言われ続けて育って来た。 そして二人とも病的に本が好きで、作家になることを夢見て生きてきた。 弟は20代の半ば、俺は28。弟は二浪した挙句が地方国立というザマで、一族の中で相当爪弾きにされていた。 その一方、俺は大学卒業後国家公務員に。民主党の天下り規制にヘコんだりとかしてた。 いわゆる「デキるお兄ちゃん」であり続けたと思う。 小、中、高とアマチュアの文芸賞やあるいはプロ志望者向きの文芸賞で 賞を取ったり選考に残ったりするのは大抵俺で、弟はほとんどひっかかったことすらなかった。 弟は内向的な性格で、しかも怠惰なもんだから大学卒業後は当然のごとく就職に失敗し、 実家にもいにくいものだから俺の家に住み着いて日々ニートやってた。 その弟がライトノベルに転向したのはほんの数年前。 そして先日唐突に賞を取り、唐突に売れ始め、ついに年収が俺の一