「7つの名を持つ原作者」樹林伸 樹林伸という名は、一般にはそれほど知られていないかもしれない。しかし、マンガ業界では「超」がつく有名人だ。 『金田一少年の事件簿』の原作者・天樹征丸、『Get Backers奪還屋』の青樹佑夜、『エリアの騎士』の伊賀大晃、『ブラッディ・マンデイ』の龍門諒、『探偵犬シャードック』の安童夕馬、『神の雫』(「モーニング」連載)の亜樹直。これらすべてが樹林のペンネームである。 人呼んで“7つの名を持つ原作者”――。 多くのペンネームを使い分け、平成後半には常に「マガジン」で複数の連載を抱える“平成の梶原一騎”とも呼べる活躍を見せた(2022年も「伊賀大晃」が連載)。さらに本名で小説まで書くのだから、梶原以上かもしれない。 いくつもペンネームを持っているのは、「読者に先入観を与えず、常に新人として向き合いたいから」と樹林は説明する。 「小説で毎回ペンネームを変えていて