本エントリにおいては、「収穫加速の法則」は、「一定期間における『進歩量』の指数関数な増大」の意味で使用します。 前項で述べた、「収穫加速の法則」においてパラダイムが定義されていないという問題も無視しがたいものですが、けれども、実際のところ、歴史的な事象の発生頻度が指数的な分布を示していることは、ある意味では真実です。そのため、宇宙、生命、人類の歴史とテクノロジーを一つの対数グラフ上にまとめて掲載してしまえば、成長曲線が今後進んでいく方向が、誤差として完全に覆い隠されてしまいます。 よって、注目するべきは、直近の過去において成長曲線がどこへ向かっているかです。 図1: 指数関数の進む方向 そして、私が「収穫加速の法則」とその帰結であるシンギュラリティに対して懐疑的になったそもそもの理由は、「収穫加速の法則」から予想される加速度的な変化が、過去20年ばかりの私の生活実感において全く感じられない