■前編、中編はこちらから オウム騒動の渦中にいた宗教学者と、ポスト・オウム世代ともいえる気鋭の宗教学者が交錯した初めての対談の最終編。前回は、東大を中心とした宗教学とオウムとのかかわりに話が及んだが、その文脈からは外すことができない、東大宗教学が生んだ、もうひとりの花形宗教学者・中沢新一氏への言及も行われた。大田氏は自著『オウム真理教の精神史』(春秋社)の中で、中沢氏批判も展開しているが、島田氏も2007年に『中沢新一批判、あるいは宗教的テロリズムについて』(亜紀書房)という著書を著している。オウムに関しては沈黙を守り続ける中沢氏を、大学の後輩にあたる2人はどうみているのか? ――島田さんと同世代の宗教学者といえば、中沢新一さんです。彼の著作『虹の階梯 チベット密教の瞑想修行』(平河出版社)はオウムのネタ本ですし、事件当時、雑誌のインタビューでは「信者を引き受ける」と言ったりしています。大