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ブックマーク / d.hatena.ne.jp/Mukke (14)

  • スターリン期の大量死の評価をめぐって――ノーマン・ネイマーク『スターリンのジェノサイド』を読む - Danas je lep dan.

    きわめて問題提起的な意欲作でありながら,どうしてこんな残念な結果になってしまったのだろうか。いや,むしろ,書の著者ネイマークの持つその意気込みが,書を残念なものにしてしまっているのかもしれない。読みながら,そんなことを考えた。スターリンのジェノサイド作者: ノーマン・M・ネイマーク,根岸隆夫出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2012/09/11メディア: 単行この商品を含むブログ (4件) を見る 書,つまりノーマン・ネイマーク『スターリンのジェノサイド』(根隆夫訳,みすず書房,2012年)は,Norman M. Naimark, Stalin’s Genocides (Princeton: Princeton University Press, 2010)の邦訳であり,スターリン体制下での大量死を「ジェノサイド」と位置づけて論じる書物である。といっても,文は日語版で1

  • さよならリトルガール - Danas je lep dan.

    ということで新作SSです。構想じたいは1年以上暖めてあったのですがなかなか書き進まず……。あとできれば8:15にうpしたかったのですができませんでした。不覚。 ちなみに,ちょっとわかりづらいかもしれないので注釈を入れておくと,テッレル・エステル(Teller Eszter)の元ネタは,ハンガリー出身のテッレル・エデというひとです。のちにアメリカ移住してエドワード・テラーと呼ばれることになります。ネウマン・ユディト(Neumann Judit)の元ネタは,同じくハンガリー出身のネウマン・ヤーノシュというひとで,父親が貴族の称号をお金で買ったため,ドイツ語で言えばヨハン・フォン・ノイマンと呼ばれるようになり,のちにアメリカ移住してジョン・フォン・ノイマンを名乗った人物です。そして,沢田美津子の元ネタは淵田美津雄。ジュリアとエノーラについては,なにも言う必要はないでしょう。 pixivでも公

  • ストライクウィッチーズの世界観における東欧について - Danas je lep dan.

    なんかtwitterでスト魔女の世界観について色々言われていたので,それについてちと反応を。ストパンは小説版の世界地図がこんなんだと知って、うわぁ・・・と思った。http://goo.gl/p94dhttps://twitter.com/#!/deviltruck2010/status/181019175823736832 それ多分いらん子の世界地図だと思うけれども,あの世界の世界地図はメディアによって(発表時期によって)異なっていて,2006年時点と2010年時点ではけっこう違ったりするのね(つーか,いらん子時点では「ズボン」じゃなくて「パンツ」だし)。で,『ストライクウィッチーズ2』の放映直後に出た公式の地図では,中国や朝鮮半島,オーストラリア,イラクなどにあった巨大なクレーターはなかったことになってる。それらの地域が“荒漠地域”になっているという設定は変わらないけれど。 cf. 『ス

    crow_henmi
    crow_henmi 2012/04/12
    穴の開いたやかんが転がってませんかね。
  • バルカン諸国における「国王」の系譜 - Danas je lep dan.

    そういえば僕は昨年,紫音さんからあまりにも唐突なキラーパスを貰っていました。といいながら、バタバタしているうちにMukkeさんあたりがロシアドイツの大統領制について論考した挙句に東欧の元首制度比較をやるとみた(キラーパス)お返事などなど - 戯言 by 紫音 よろしい,では,近代バルカン諸国の君主制について比較(?)するエントリを上げましょう。概観 そもそも近代バルカン諸国というのは,フランスやイギリス,プロイセンのように元からあった王国が発展していったのではなく,オスマン帝国からの独立運動やら列強の介入やらで「新しく作られた」国々なので,王家を成り立たせることができるような在来の貴顕があまりいません。ビザンツ王朝もセルビア王朝もブルガリア王朝もどっか行っちゃいましたし。 けれどそれらの国々ができた時,ヨーロッパの大国に君臨していたのは共和主義に怯える王様たち。新しく作られる国は王政が望

  • ナショナリズムとブルー・ブラッド――プロイセンにおける愛国主義の一形態についての備忘録 - Danas je lep dan.

    タイトルに釣られて専門からはちょっと離れたプロイセン史のを読んだ*1。多民族国家プロイセンの夢 -「青の国際派」とヨーロッパ秩序-作者: 今野元出版社/メーカー: 名古屋大学出版会発売日: 2009/06/23メディア: 単行Amazon.co.jpで詳細を見る 書はひとりの貴族の一代記だ。プロイセン貴族ボグダン・フォン・フッテン=チャプスキ伯爵(Bogdan Graf von Hutten-Czapski,1851-1937)は,その名からわかるようにドイツとポーランド,双方の血を引いている*2。 露墺普三国によるポーランド分割後,ポーランド・ナショナリズムの台頭に伴って旧ポーランド領は混乱に見舞われた。プロイセン領ポーゼン(ポズナニ)*3では,ドイツ系住民とポーランド系住民との間の対立が激化の一途を辿る。その辺の経過は↓のに詳しい。1848年革命―ヨーロッパ・ナショナリズムの幕

  • 「ナショナリズム」に確固とした定義はあるか? - Danas je lep dan.

    軍事板常見問題の管理人,消印所沢さんから質問をいただいたので,力不足ですが可能な範囲でお答えします。 そもそも「ナショナリズム」に,学問的検証に耐えうる確固とした定義はあるのでしょうか? 最近,アフガーンに関する文献を読んでいるうちに,どうも安易に民族主義という言葉が使われているのではないか?という疑問を持ちまして.<民族主義という言葉の安易な濫用ではないか?と考える理由>(1) 当方の知る限り,これまで全く文献には出てこない,「パシュトゥン民族主義」という言葉が,2008年になって急に現れている(2) パシュトゥンはキルザイとドゥラニの2大部族に分かれ,それぞれがさらに小さな部族集団に分かれていて,政治的動向はその部族集団によって異なってくるのに,パシュトゥン民族主義と簡単に一括りにしてよいものかどうなのか その事例の一つは某医師の著作なので,無視していいレベルのものですが,もう一例は南

  • 12人の怒れるロシア人 - Danas je lep dan.

    『12人の怒れる男』を見ようと思ってツ○ヤに行ったが見つからず,代わりにロシアでリメイクされたヴァージョンが見つかったので借りてきた。そしたら,これが実に面白い。12人の怒れる男 [DVD]出版社/メーカー: 東宝発売日: 2009/01/23メディア: DVDAmazon.co.jpで詳細を見る 被告人は,自分を育ててくれた義父を殺したという容疑をかけられたチェチェン人の青年。彼は実の両親を紛争で失くしていたのだ。今日有罪判決が下れば,彼には終身刑の判決が下され,死ぬまで監獄に繋がれる。陪審員たちは,原作にもあるように様々な事情を抱え,早く審理を終わらせたいと望んでいる―― 基的な筋は原作の通りなので詳述はしないが,この映画の中では,ロシア社会の歪みが克明に映し出される。陪審員たちが案内された小学校の体育館は,老朽化しているにも関わらず,おざなりな補強しかなされていない。更衣室からは注

    crow_henmi
    crow_henmi 2009/09/12
    ニキータ・ミハルコフらしい苦みばしった良い作品のようで。ぜひとも観たいのでマーケットプレイスを利用しよう。
  • ハプスブルク帝国の国民統合と軍隊――極東に囚われた俘虜たちを通して - Danas je lep dan.

    近代国家における「国民」の創出に寄与する装置といえば学校と軍隊であるというのは今さら言うまでもないが,その事情は「いくつものアイルランドをひとまとめにしたような」*1ハプスブルク帝国においても変わることはなかった。  アウスグライヒ(Ausgleich)後のハプスブルク帝国,すなわちオーストリア=ハンガリー帝国の共通軍は,諸民族に最低限のドイツ語能力だけを要求し基的には民族語で兵営における生活を営むことができる場であった。それは立派に国民統合機能を担っていたと言っていいだろう*2。  しかしながらそれは諸民族の配属などの絶妙なバランスの上に成り立ったもので,根的に非常時の制度では有り得なかった。大津留厚の表現を借りれば,「ハプスブルク軍は戦争をしてはならない軍隊だった」*3。総力戦という新しい戦争のかたちはそのような統合を容赦なく突き崩した。弱体のハプスブルク軍が,中欧の同盟国ドイツ

  • 「すべてのひとのためのことば」と「ニュースピーク」のはざまに - Danas je lep dan.

    図書館で目に付いたので衝動借り。エスペラント―異端の言語 (岩波新書)作者: 田中克彦出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2007/06メディア: 新書Amazon.co.jpで詳細を見る これを読むまで,エスペラントには偏見を持っていた。所詮国際語といっても,人間の身につけられる言語には自ずと限りがあるのだから,その限られた言語の知識の中から新しい言語を創出しようとしたら,ちっとも「国際語」なんかじゃない,印欧語の変種にしか過ぎない言語なのだろう,と。 けれどそれは違っていた。エスペラントは,決して印欧語一辺倒の言語というわけではなかった。 興味深いと思ったのが,名詞は一律-oで終わり,形容詞は一律-aで終わる,というその規則性。さらに,目的語を表す語尾-nの存在や,-in-を挿入して作られる女性形*1も面白いと思った。また,be動詞(ドイツ語でいうsein動詞)が一種類しかないことも

  • ナショナリズムにおける本質主義批判のために――エトニ,あるいは,ネイションの基盤となるものについて - Danas je lep dan.

    前に, 質主義と構築主義 - Danas je lep dan. で書いたことをもうちょっと詳しく。 ゲルナーら構築主義者はネイションは近代の構築物であると論じるが,それに異議を唱えたのがA・D・スミスだ。 彼はその1986年の著書The Ethnic Origin of Nations(巣山靖司,高城和義他訳『ネイションとエスニシティ――歴史社会学的考察』名古屋大学出版会,1999)の中で,ネイションの基盤となる人間集団としてのエトニ(ethnie)を提唱する。 これまでの議論を基礎とすれば,エトニ(エスニックな共同体)は,いまやつぎのように定義される。エトニとは,共通の祖先・歴史文化をもち,ある特定の領域との結びつきをもち,内部での連帯感をもつ,名前をもった人間集団である,と。私は,このような共同体が,〔……〕歴史のあらゆる時代において,広く分布してきたことを示したい。〔……〕*1

  • ホロコーストの基礎知識について - Danas je lep dan.

    これを読んで,何だか気の毒になってきた。 私自身は、未だ明確に、自身を「修正主義者」だと考えているわけではないですが(「はてな村」では既にそうだと決め付けられていますが)、ルドルフも言うとおり、何十年も「ホロコースト正史」に何の疑いもなく生きてきました。ごく普通の生育暦です。ところが、そんな平和な常識を根底から覆す「修正主義」の学説に触れれば、「え? どういうこと?」と思って、好奇心が沸き起こり、その学説を夢中で読みふけったとしても、人間の好奇心のありようとして、いかにも自然だと思います。むしろ、自分が常識として知っていることを書いてある書物を夢中で読む人がいたら、ちょっと変わっているんじゃないでしょうか。むろん、「正史」と、それへの批判を、比較検討するのであれば、両者の見解を調べる必要があるのは自明です。 でも、とりあえず、「修正主義」の学説が、好奇心をそそるので、そっちから読みます。幸

    crow_henmi
    crow_henmi 2009/03/20
    こういうことを繰り返し積み重ねていくほうが、トンデモさんを直接罵倒するよりはいいんじゃないかなとは思う。
  • ツァーリはいまだ滅びず - Danas je lep dan.

    ロシアでプーチン大統領が退任してメドヴェージェフ第一副首相が大統領に就任したのはもう去年の事だ。メドヴェージェフ大統領のもとでプーチン前大統領は首相に就任し,「タンデム体制」と称される体制を築くに至った。 この体制を巡っては,様々な憶測が囁かれている*1。どちらが主導権を握っているのか? メドヴェージェフは「繋ぎ」で,プーチンは再び大統領に返り咲くのか? そのように複雑怪奇なロシア政治状況の一端を知る為に,次のを読んだ。帝政民主主義国家ロシア―プーチンの時代作者: 中村逸郎出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2005/04メディア: 単行ロシアはどこに行くのか─タンデム型デモクラシーの限界 (講談社現代新書)作者: 中村逸郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/11/19メディア: 新書 両書を執筆した中村逸郎氏は,ロシア政治の研究者で,ソ連崩壊後のロシア市民を追った著作も

  • 真に他民族を尊重するということ - Danas je lep dan.

    「和人」だか何だか知らないが - 胡散臭さがなんかいい民族など存在しない。ヒトはヒトなのである。usankusa 2009/01/15 01:04 コメントありがとうございます。でも「民族」概念そのものがフィクションですよね?所詮フィクションである民族概念に拘ることでかえって問題の解決を困難にしているような気がしてならないのです。こんにち、「和人」は単一の言語、単一の文化を持つ集団であると言えるのでしょうか。他の民族もまた然り。少数者がその存続のために民族概念を持ち出すならまだしも、少なくとも多数の側が「和人」(やまとんちゅ、なんてのもそう)などと自分たちを規定することは、無邪気だな、当に解決する気あるのかな、と私には思えてしまうのです。 ぼくは何度も言うように構築主義者である。つまり,民族の永続性というようなものを信じていない。ethnic groupとしてはともかく,nationとし

  • ナチスすら出てこない日本 - Danas je lep dan.

    派遣村バッシング関連でちょっと思った事。 派遣村が何故かやたらと叩かれてる訳だが*1,どう考えても叩かれるのはおかしいよね。「偽善」とか言ってのけたクズもいるようだけど*2,何を考えてるんだよと思う。ヴォランティアが政治性を帯びるのなんて当たり前の話で(これは久間知毅さんも指摘していた*3),そこまで言うんならてめぇがヴォランティアしろよ,と思うのだけれど,この反応には暗澹とした思いを抱く。 もう70年以上も前の事だ。敗戦と世界恐慌でノックアウトされた国で,失業者に「君たちが失業しているのはユダヤ人が悪いからだ。われわれアーリア民族は素晴らしい人種だ」とか何とか宣伝文句をぶらさげて近づいた政党があって,その政党が人類史上未曾有の残虐行為に手を染める訳だけど,翻って現在の日において。 いわゆる「右翼」の皆さんは,派遣村にすげー冷淡でしたね*4。 勿論,この機会を狙って例の在日特権がどうのと

    crow_henmi
    crow_henmi 2009/01/09
    万人の万人に対する不寛容がはびこると全体主義すら持ち上がらない罠。と思っている。
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