サイエンスライターで長年の友人でもある鹿野司が10月17日に63歳でなくなった。 近年の彼は長い闘病生活中にあり、自分で何度も救急車を呼んで窮地を乗り越えてきたような状態だった。苦しくなって呼ぶのではなく、倒れる前に色んな測定値や症状から「このままでは危ない」と自己判断して呼んでいた由で、ときにはその状況をツイートしていたこともある。もちろん入院が必要なときはちゃんと入院していた。むしろ、いかにも科学ライターらしいそうした冷静な判断があって、ここまで生きながらえることが出来たのだと思う。 彼は自然科学やテクノロジー方面はもちろん、社会学や政治的な判断においても私のもっとも信頼する知識人だった。右にも左にも体制にも反体制にも与せず、是々非々で論理的・科学的に物事を判断、評価、批判した。 SNSには、一見、相対的・俯瞰的・論理的な態度をとっているように見せながら、その実、理不尽な権力に利するよ